Dream
□天体観測
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-午前2時-
君の携帯に電話をかける。
コール音が二回して、君の声が聞こえた。
『もしもし、』
「もしもし、名前?
準備できてるよね?」
『うん。
じゃあ、今から下行くね』
そう言って、約2分。
君が家から出てきた。
『お待たせっ』
「よし、じゃあ行こうか」
2人並んで歩いた。
車道だって、
今はオレと君の2人だけ。
君は楽しそうに、真ん中を歩いている。
その笑顔が可愛らしくて、
つい微笑んでしまう。
ずっと歩いて30分。
丘に来て望遠鏡を置く。
空には星が輝いていて、
天体観測にはちょうどいい。
地面に座り、
隣に座るように施すと、
君はちょこんとオレの横に座った。
「さ、始めようか」
『うんっ!』
2人で望遠鏡を覗き込んで、
あれはなにだとか、
あれが綺麗だとかを話す。
無邪気にはしゃぐ君が愛おしく感じた。
少しずつ、辺りが明るくなってきた。
それでもオレ達は星を見た。
今この瞬間見えているものを、
瞳に焼き付けたいから。
満天の星や、
君のその楽しそうな顔を。
まだ暗いから大丈夫だ。
そう思いながら、
君と星を見続ける。
突然、君が口を開いた。
『ねえ、ヒロト』
「なに?」
『…もしもさ、
私が突然、ヒロトの前からいなくなったとしたら、
ヒロトはどうする?』
上を向いていた君の顔が、
こちらに向いた。
「どうする、か……」
『うん』
そんなの、考えなくても決まってる。
「探す」
『え?』
「名前がどこに居たとしても、探し続けて絶対に会いにいく」
そう、
沢山の星の中から一つの星を見つけるようにね。
そしてオレは、彼女に軽く口づけをした。
「だから、
オレのこと忘れたりしたら駄目だよ?」
そう言って、微笑みかける。
「……ねえ、名前」
『なに?』
「今のこと、深い意味があったりしない?」
『ううん、しないよ。
ヒロトが私のこと、好きかなって思っただけだから』
そんなこと簡単にわかるだろ?
「そんなことしなくても、
オレは名前が好きだよ。
愛してる」
今度はお互いにキスをする。
天体観測
(気付いてる?)
(星よりも)
(君を見ていたってこと)
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