Dream

□熱以上に
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「ばか」



………部屋に入って第一声がこれとは、
さすがに傷つくぞ。


呼んだはいいが、第一声にかなり傷ついたかもしれない。


「……なあ、名前「ほんと馬鹿みたいだよ」



………オレ、そろそろ泣きそうだ。


そう思った時、名前が一つ大きな溜め息をついた。


なにやら言いたそうだ。

頬が紅に染まっていた。


どうした?と言えば、
「何でもない」と言ってくる。

どうしても?って聞く。
そうすると、再び溜め息をついて、
紅くなった両頬を両手でおさえた。


それと同時に、
横目でオレを見ながら、

「だって、心配したんだもん」



………この少女は殺人兵器か?
そうだ、そうに決まってる。


今までツンデレのツンの部分しか出さなかった名前が、
ついにデレを獲得したようだ。


かわいいにも程がある。
このままいけば、熱が下がるんじゃないか?


そう思ったが、やはり無理だった。

一向に熱が下がらない。
むしろ上がっている気もしてきた。
ふらふらする身体を名前に支えてもらいながら、
ベッドの中に潜り込む。


それにしても、腹がかなり減った。


「名前、」

「なに?」

「昼飯食いたい」

「まだ食べてなかったの?」

「まだ」

「しょうがないな……、
なんか作ってきてあげる」

「ありがとう」

「今回だけだよ?」


そう言って微笑むと、名前は部屋を後にした。





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