Dream

□奥手な君
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家の中で寝転がりながら雑誌をペラペラと捲る。


はー、最近はこういうのがモテるのかー。わかんねーなー。
なんて言いながらゴロゴロゴロゴロ。

すぐそこで静かに勉強してる立向居には迷惑なのだろうな。


そんなこと思いつつも、
つい声をかけてしまう。


『なーなー立向居ー』

「あ、はい。なんですか?」


ふわりと笑う立向居。
良い子だよほんと。

だから、


『膝枕してよ』

「……………へっ?」


ほんと弄り甲斐のあるやつだ。
顔を真っ赤にして、あたふたして。
可愛らしい。


『ダメか?』


上目遣いをして聞くと、
もっと顔を赤くして、
頭と手を横にぶんぶん振って。


「そっ、そんなことないです!!
全然大丈夫です!!」

『じゃあ遠慮なく!!』

「えっ、わっ!!」


慌てて言った言葉だったんだろう。
ちょっと困ってるようだった。

でも言ったのは立向居だしな、うん。


『あー、幸せだーっ』

「あ、あの、名前先輩、」

『ん?なに?嫌か?』

「あ、いや、
そうじゃなくて、その……、」

『ん?』

「い、いつまでしてればいいんでしょうか……?」


………あ、
考えてなかった。

じゃあ、


『あたしが帰るまで』

「えっ!!?」


なんだその反応は。
そんな嫌なのか?


『だめなのか?』

「い、いや、別に大丈夫ですけど……」

『よーし、じゃあこのまま寝るわ!!』

「ええっ!!?」

『おやすみーっ』


なんか言いたげだったけど、
まあいいか。

瞳を閉じて、眠りにつく。




















「………い……ぱい、
名前先輩っ」

『ぅ……?』

「あ、おはようございます」

『ん…おはよー………』

「もうそろそろ時間です」


ちゃんと膝枕してくれたのか。
ありがたいな、うん。


『さんきゅ、立向居』

「い、いえ、そんなっ!!」

『遠慮すんなって』

「わっ!!」


髪をくしゃくしゃと撫でると、
ちょっとだけ困ったような顔をしたが、嬉しそうな顔をしてくれた。


『よし!!
良い子な立向居にはちょっとしたプレゼントをあげよう!!』

「プレゼント、ですか?」

『そう、プレゼント』

「そ、そんな、
気遣わなくても…」

『いいからいいから!!
ほら、手出して』


起き上がりつつそう言うと、
遠慮がちに右手を差し出してくる。

その手を掴んで甲を上に向け、
そこへ一つ。




チュッ


「……へっ、」

『ほい、プレゼントっ』

「あ、あぅぅ……っ」


にこりと笑って言えば、
顔を真っ赤にしてあたふたする立向居。

うん、やっぱ可愛いな。


『よしよし、可愛いな〜』

「か、かわっ!!?」

『はははっ、じょーだんだよ!!
よし、そんじゃ帰るわ』

「え、あ、わかりました」


二人で部屋から出て、
玄関まで来てくれた。


『じゃーなー』


そうやってドアノブに手をかけた時だった。


「あのっ、先輩!!」

『ん?』


振り返った瞬間、
ふわりと唇に感触が。

なにをされたか、
気付くまで時間がかかった。


唇にあったものが離れる。

目の前には、顔をさっきより真っ赤にさせた立向居が。


『ははっ、自分でしといて真っ赤になるなよ』

「はっ、恥ずかしいものは恥ずかしいんですっ!!」

『そっかそっか。
じゃ、またな。勇気』

「っ!!
は、はいっ!!」






奥手な君



そんな君が好きだから


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