Dream
□優しくされると
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『失礼しました』
踵を返し部屋を出る。
お父様から、今度はジェネシスのマネージャーを頼まれた。
今までジェミニストーム、イプシロン、プロミネンス、ダイヤモンドダストのマネージャーをやったことはあるけど、
ジェネシスことガイアはやったことがない。
ジェネシスの称号を手に入れたチームのマネージャーなんてできるかな?
正直かなり不安だ。
『でも、やるしかないよね』
気合いを入れて、
ジェネシスが練習している部屋へ行く。
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部屋に入ると、
ちょうど練習を中断して休憩しているところだった。
それにしても、迫力あるな…。
うぅ、緊張してきた………。
『でも、頑張らなきゃ!!』
タオルとスポーツドリンクを持ってジェネシスの皆さんのところへ。
『お、お疲れ様です』
「誰だ貴様」
お、お疲れ様って言った瞬間に誰って言われた……。
まあ、マネージャーなんて興味ないだろうし、
しかも初めて会うんだからしょうがないか………。
「おい、聞いてるのか?」
『あ、はい!!
わ、私、苗字名前って言います』
「そうか。
で、何故ここにいる」
じ、尋問されてる気分……。
『お、お父様にジェネシスのマネージャーをやれと……』
「お父様が?」
私の目の前の人は眉間に皺を寄せて呟いた。
「たかがマネージャーが、
何故私よりもお父様に頼られているんだ……」
ギリッと歯軋りが聞こえた。
正直言って恐怖。
どこかのお化け屋敷なんかよりも遥かに怖い。
「おい貴様、」
『は、はいっ!!』
突然呼ばれた。
思い切り睨まれて足が竦む。
その人は私の胸倉を掴んで言ってきた。
「いいか。
これ以上私にとって不快な行動をするのであれば、
容赦なく貴様を叩き潰す」
『ふ、ぇっ、』
怖くて涙が溢れてきた。
そんな時、
カタカタと震える私の肩に誰かが手を乗せた。
この人は確か、ジェネシスのキャプテンの……、
「グラン」
「止めてあげたらどうだい、ウルビダ。
彼女、怖がってるじゃないか」
「………チッ」
「じゃあ、練習再開してて」
彼がそう言えば、
ジェネシスの人達はフィールドに走っていった。
緊張が解け、私はその場にへたり込みそうになった。
それを彼、グラン様は両手で支えた。
「大丈夫?
ごめん、うちのチームの者が」
『い、いえ、平気です……』
「本当にごめん」
そっと頭を撫でられる。
この人は優しいなと思い、安心した。
「マネージャーやってくれるのかい?」
『あ、はい!!
できるだけ皆様のお役に立てるように頑張ります!!』
「そっか。
よろしく、名前ちゃん。
じゃあオレは練習に戻るよ」
ふわりと私の頭を撫で、
じゃあね、と言って練習に戻っていくグラン様。
顔が熱く、
鼓動が早くなっていくのがわかった。
優しくされると
好きになってしまうものです
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