Dream

□恋は突然
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〜♪


はぁ……と関心しながら神童の指の動きを見る。


音楽室でピアノを弾いてる神童と、
それを眺めるオレ。

この時間は神童の追っかけがいなくていい。


神童が弾くピアノの音を椅子に座りながら聴く。

いい曲だなと思っていたら、
突然神童が立ち上がった。


「どうした?」

「いや、飲み物買いに行ってくるだけだ。
霧野はここで待っててくれ」

「ん。わかった」


ガラッ


ドアを開けて部屋を出て行く神童。


暇になってしまった。


「んーっ」


身体を伸ばしたり、歩いてみたりするけど、
やっぱり暇だ。


こうなったら部屋出て神童追っかけるか。

そう思って部屋を出た。


瞬間、誰かとぶつかった。


神童か?

そう思ったが違った。

一人の少女が目の前にいるわけで。


こいつ、同じクラスの……。


「苗字」

『え、あ、えっ』

「なんでここにいるんだ?」

『えっ!?
あ、えっと、その………』


頬を赤く染めて俯く苗字。

たぶん神童のことが好きなんだろう。


だからここに来たんだろな。


「神童ならいないぞ」

『そ、そうなんだ……』

「……飲み物買いに行ったぜ?」

『そう………』


……どうすればいいんだ?
会話が続かない。

そんなに神童がいないことがショックか。


オレだって、
これでも苗字が好きなんだ。

たぶんオレの方がショックだろうな。


『あ、あのっ』

「ん?」

『い、いつくらいに出たの?』

「ついさっきだけど」

『あ、ありがと……』

「…………」

『……………』

「…あのさ、」

『えっ!?』


なんかすごい驚かれた……。


「苗字はどうしたんだ?」

『へっ』


外に見える夕日のように真っ赤になっている苗字。

だいたい想像つくけど、
念のため。


「なんか用があったんじゃないか?」

『あ、ぅ…っ』

「なんの用だったんだ?」

『そ、その………』


このままじゃ話が進みそうにないな……。


「…………神童か?」

『えっ!?』

「神童に用があるんだろ?
だったらもうそろそろ帰ってくると思うからオレいなくなってるよ」

『あ、いや、そうじゃなくて』

「いいよ。
いない方がいいだろ?」


そう言って教室を出ようとした時、
苗字がオレの右手を掴んだ。


『そっ、そうじゃないの!!』

「え?」

『わ、私が用あるのは、その……き、霧野くんなの………』

「お、オレ?」

『うん………』


さっきよりも頬を赤くしている苗字。

そして、ゆっくりと喋った。


『私、霧野くんのことが好きなの………。
付き合って…くれますか…?』

「っ、」


顔に熱が集まっていくのがわかる。


苗字は、オレで、


「オレなんかで、いいのか…?」

『う、うんっ!!』

「じゃあ、よろしくな?」

『よ、よろしく……』



恋は突然



実るものです



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