Dream

□それが恋だと知りながら
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「蘭丸ああああああああああああああああッ!!!!!!!!」


バコォンとかドゴォンとか、
そんな音が部室に響いた。

オレの友人である苗字が勢い良く部室のドアを開けたからだ。

って、おいおい、
此処はスライド式のドアじゃないぞ。自動ドアだ。
壊れたらどうする。

そんなことを冷静に思っていられるのは、
おそらくこの次の瞬間、
すごくくだらなくて、すごく呆れるような話をしてくることを悟っているからである。

と思っていると、苗字が此方に歩み寄ってきた。

今にも溜め息が出そうだ。


「蘭ちゃん」

「おいまて、誰が蘭ちゃんだ誰が」

『いいじゃないか、ボクと蘭ちゃんの仲だろ?』

「いや、苗字とはクラスメート、友達、2年間一緒のやつ、ボケとツッコミくらいの関係だろ」

『十分じゃないか。
他人とかよりはマシだ』

「縁切るぞ」

『縁あるの!!?
蘭ちゃんってばツンデレぇ〜っ』


ブチッ

オレの中で何かが切れた。

オレは親指と人差し指で輪を作り、
縁を切る時のあのポーズをとった。



「縁切っ『ごめんなさい!!ちょっと調子に乗りました!!!』


たを言う前に謝る苗字。

最初から調子乗らなきゃいいのに。


「それでよし」

『なんか悔しいわ〜』


口を尖らせているが、別になんとも思わない。
毎度のことだからな。


「歯食いしばってろ」

『蘭ちゃんドS!!!』

「本音言っただけだろ?」

『ドドドドドSか』

「一人で喋るな」

『にゃははははっ!
ちなみにボク達かなり浮いてますよ』


……………………………


「あ、」


静まり返る部室。
みんなが冷たい目で見てくる。


「あ、いや、えっと、」

「今日は一段と浮いてたな」


エr、南沢先輩がニヤニヤしながら言ってくる。


「バカップル」


倉間ああああああっ!!!!

なんでバカップルなんだよ!!
まず付き合ってねえし!!


「ちゅーか痴話喧嘩だよねー」


おい浜野!!?

だからなんで付き合ってたり結婚してたりしてんだよ!!

なんか悲しくなって、
あいつなら味方してくれると思って神童の方を見る。

しかし。

目が合ったと思えば、
苦い顔して目を逸らされた。


「ちょ、神童、オレ達親友だよな?幼なじみだよな?」

「あ、えっと………、ごめん」


親友にまで裏切られた。

オレはどうしたらいい。


『ドントマインド。明日があるさ』

「お前はよく他人事でいられるなあ苗字〜!!」

『だって2人っきりって感じがしていいんだもん』

「アホか!!この空気どうしてくれる!!」

『キスしたらいけんじゃね?』

「いけねえよ!!
仮にキスしたとして、なんか変化が起きるとは到底思えな、」


思えない。


そう言おうとした口が、塞がれた。

手とかじゃなくて、彼女の唇で。

ゆっくりと離れる唇。

なにをされたか理解してきて、顔に熱が集まる。


その場から逃げるように後退りする。


「なっ、おま、なにしてんだよ!!」

『キス、だよ?』

「っ!!/////」


赤くなってるであろう顔を両手でおさえ、
苗字を睨む。

たぶん、いや、絶対に怖くない。


『あはは、かわいーね♪』


頭を撫でられて、余計恥ずかしくなる。

てか、子供扱いされてる!!


「子供扱いするな!!///」


『いいじゃん、可愛いんだし』

「〜っ!!////この馬鹿!!/////」


そう言ってそっぽを向く。

胸の高鳴りがおさまるまで。









それが
恋だと知りながら







(恋ではないと)

(信じ込む)





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