フラテイ
□可愛い子ほど容赦がない
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「テイトいるか?」
10月31日、昼食を食べ終わってからテイトが部屋に戻ると、すぐにフラウが入ってきた。
「?何か用か、フラウ」
「今日の夕方からハロウィンの祭りがあるんだが・・・チビ達の服着せるの手伝ってくれ」
「ハロウィン?」
ハロウィンの言葉に、テイトは首を傾げて聞き返した。
その瞬間、フラウは思い出したような・・・バカにしたような顔で言った。
「・・・あ〜・・・知らないんだな・・・」
「悪かったな、知らなくて」
テイトはフラウに拗ねたような口調で返すが、フラウは笑いながら説明した。
「別に悪いとは言ってねーだろ?お前がそういうのに疎いのは知ってるしな」
「それはそうだけど、何かむかつく・・・」
「拗ねるなよ」
フラウは苦笑しながらそのまま説明する。
「ハロウィンってのはな、簡単に言えば、ちびっ子が仮装して、お菓子を他の家に貰いに行く行事だ」
「本当に簡単に説明したな・・・」
「ハクレンよりはマシだと思うけどな」
「お前も十分酷い」
戦友であるハクレンを持ち出されたが、ハクレンはフラウとは逆で、説明がいちいち長い。
それはそれで面倒だが、フラウの方は省き過ぎて何が本来の目的なのかが分からない。
「まあ、元は死者の魂が家に帰ってくるって言うのが本来の目的らしいんだが・・・チビ達にとっては簡単にお菓子が貰える嬉しい行事だな」
「へぇ・・・仮装って何着るんだ?」
イメージが湧かないのか、テイトが聞いてくる。
「色んなのだな。吸血鬼とか魔女とか猫とかミイラ男とか海賊とか?他にもあるとは思うが・・・チビ達の見れば分かんじゃね?ってそんな事はどうでも良い。で、手伝ってくれるのか?」
つい話が逸れてしまっていたが、本来の目的を思い出してフラウがテイトに確かめた。
「俺は別にいいけど。子供たちは町に行くんだろ?付き添いは良いのか?」
「それはもちろん必要だ。だからお前も来い」
「言うと思った・・・」
予測はしていたのか、テイトは反対することもなく、呆れた様子でため息を吐いた。
「それは基本だろ?」
「俺は初めてなんだよ!だから基本も何もあるか!!」
「それはお前が悪い。ってか、マジで行かないとカストルに嫌味言われる。ほら行くぞ」
「えっ!?そ、それならそうと早く言えよ、バカフラウ!!ってちょっと待って・・・!」
フラウが出て行こうとするのを見て慌ててテイトはその後ろ姿を追いかけた。