virtual world

□virtual world V
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一番最初に行った町を出てから三日ほど経った頃、ようやく次の町にたどり着いた。

「・・・こんなに時間がかかるのか?」
「予定では二日だったんだけど、思ったよりも距離があったね」
「パソコンの外で実際にゲームするときは二分ほどで行けるんだろう?」
「当然。じゃないとすぐに飽きるし」
「まぁな」

ゲームでやるのと実際にその中に入って歩いてみるのとは全く違う事を改めて知ることにはなった。
が、本来はパソコンの中に入ってしまうという事故は通常ありえない。
しかし、そこに気付いていながらも、防衛本能らしきもので思考を停止させる隼人が居る。

「隼人?どした??」
「いや・・・こんな非現実的な事が起こって良いのかと思っただけだ」
「それ言ったら終わりだから」

遠い目でそう呟く隼人にすかさず突っ込む白も少しは思っているのだろう。
自然とため息が出てきた。

「とにかく、町で情報を集めよう」
「だね」

隼人が促し、また三日前と同じ方法で情報を集めることにした。

そして、一時間後。

「・・・遅いな、白」

約束の時間になっても集合場所に決めた所に白が戻ってこないのだ。
何もないとは思うが、少し心配になってくる。
探そうかと考えたその時、

「離せよ!!」
「?白??」

声のした方へ近づいてみると、大柄な男三人に白が腕を掴まれていた。

「良いだろ?別に俺たちはただ一緒に遊ぼうって言ってるだけだぜ?お嬢ちゃん」
「俺は男だって言ってるだろ!!」
「そんな嘘ついても無駄だって俺たちも言ってんだけどなぁ」
「信じないお前らが悪いんだろ!?」

いつになく白が怒鳴っているのを見て隼人は珍しいなと思いつつも、これ以上注目を集められても困るため、助けに入る。

「俺の友人に何か用ですか?」
「あぁ?」
「隼人・・・」

急に現れた隼人に、男たちは鬱陶しそうな顔をしながら顔をそっちに向ける。
白は、隼人が来たことに驚いたのか、呆然としていた。

「なんだぁ?部外者は引っ込んでろ」
「部外者じゃありませんよ。そいつは俺の友人です。手を離してもらえませんか?」
「お断りだな!俺たちに逆らわない方が良いぜ?なんせ俺たちはこの町で最強だからな!!」
「「・・・(つまり外に出ると弱いんだな)」」

男の言葉に、隼人と白が同じことを思ったとは二人とも思うまい。
しかし、隼人は最強という言葉を聞いて情報収集の時に聞いた内容を思い出した。

何でも、ここ最近、この町ではならず者たちが多く入って来るようになっているという。
その中でも一番強い3人組が居るという話だった。
だから、その3人組を見つけたら抵抗するなと言われた。
どうやら、白に絡んでいる男たちがそうみたいだ。
現に、町の人間は白を助けようとしないし、更には逃げている。

(・・・さっそく厄介だな)

おそらく白はその話を知らないだろう。
身に覚えがないよう反応を見ればすぐにわかる。
男たちを白から離すための良いものは無いかと思って服に触れてみると、ズボンの後ろポケットに銃が入っている事を思い出した。

(脅しにはなるな、多分)
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