短編
□背後に注意!
1ページ/3ページ
放課後、人が少なくなり、白ももうそろそろ帰ろうかと考え、鞄を手にして用意をしていた。
ゴソゴソと机の中を探る音以外、何も聞こえなかったのに、突然、扉の開く音が響いた。
「隼人?」
そこにいたのは隼人だったが、何かがおかしい。
そう気付いて後ろに後退った。
「隼人?どうしたんだ?」
「白・・・」
ゆっくりと近づいてくる隼人は、次の瞬間、強い力で白を壁に押し付けた。
「っ・・・!隼人!?なんだよ、どうしたんだよ?」
「騒ぐなよ。声、聞かれるぜ?」
隼人の口から出た言葉は、いつもとは違う自己中心的な口調。
その時点で、今誰と話しているかが分かった。
「お前、・・・ユウ?」
「当たり。でも、惜しいな。俺の事は勇人って呼べよ」
隼人のもう一つの人格、ユウが出てきたときはいつも碌なことがない。今回も嫌な予感がした。
「隼人はどうしたんだよ!?」
「あぁ、あいつか?あいつなら無理やり中で縛り付けてやってるよ。そうでもしないと邪魔が入るだろ?」
楽しそうに笑うユウに白は反抗する。
「ふざけんな!隼人を出せよ!お前なんて嫌いだ!」
「そんなこと言っても俺を煽るだけだぜ?」
「やだ、隼人、はやと・・・!」