人恋桜
□監察方
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等々監察方に入る為に色々教えてもらう日がやってきた。昨日の1日が此方に来て初めてこんなに楽しかったのでその余韻がまだ残ってしまっている。懐の中にある総司君から貰った簪を握り締め山崎さんの話を聞いた。
頑張って覚えなきゃ・・・。
朝早くから空き部屋で女物の着物の着付けの仕方を教えてもらっている。
『悠美香さん。貴方の監察方の仕事はこれから島原で情報を仕入れる為に芸子に扮してることが多くなると思うのでまずは着付けから始まって次に歌、舞などを覚えてもらいます。』
「・・・分かりました。宜しくお願いします。」
いろんな色の綺麗な着物や、簪、帯、終いには化粧道具が空き部屋に所狭しと並べてある。
「あの・・・。山崎さん、どうしてこんなに女物の着物がいっぱいあるんですか?」
その質問をした途端、斉藤さんの様に目を彷徨わせおまけに顔を少し赤らめた山崎さんの姿があった。
その様子はもしかして女装もするんだ。山崎さんって・・・。男所帯で女物の着物がこんなにあっても可笑しいもんね。道理で納得だ。
『それは・・・俺が芸子に扮していたりすることがあるからだ。』
「仕事柄でも山崎さんが女装をした姿はとっても綺麗そうですね。見てみたいです。」
想像して笑ってしまった。
『悠美香さん!!』
ばつが悪そうに赤い顔した山崎さんが此方を睨んでいる。そんな赤い顔で睨まれてもちっとも怖くない。・・・これじゃ総司君に似て来たなと思い、これから自分の上司になる人に失礼かと思い謝った。
「すいません、つい・・・。」
『ホントに君は・・・。』
呆れられちゃった?まぁいいかと着方を教りながら自分で着てみることにした。
「山崎さん。私自分で着てみます。なので部屋1人にしてもらえますか?」
『分かった。出来たら教えてくれ。』
今着ている着流しを脱ぎ、1人黙々と着物の袖を通した。