偶然仕掛けたキスがいつもより甘くて驚く。

「あ、俺今飴なめてるよ」



あなたとするキスはいつも甘いけど、今日はさらに甘ったるい。
サラサラの砂糖をトロトロに溶かしつけて
コロンと丸めた、その菓子を口に含んでいるからだ。



バーナビーは虎徹の腕をぐっと引っ張って
もう一度口づけて、
さっきよりも深く入り込んで、
柔くあたたかく気持ちのよい口内を堪能しながら
甘さの源の丸い球体を
からめとった。

ふ、と鼻から抜ける空気が二人の周りに糖をまぶす。

バーナビーは虎徹から奪った飴を
口の中で転がす。




「ん、甘」
「新しいのあるからとんなよ」
恋人はすねるように、僕の胸をトン、とこぶしでたたいた。
「とってはいませんよ、味見しただけです」
その甘えた仕草は、僕だけが味わえるものだ。
それがすごくうれしい。
触れられた胸から、発熱して溶けてしまいそうだ。
まさしく今僕の口の中で、体温により溶かされているこの飴の様に。





バーナビーは再び虎徹に近づいて、キスをした。
赤く熟れた果実のような唇に、噛みついて舐める。
ざらりとした舌を僕の舌で触れて、その上にキャンディーを返した。

この人とのキスは、
幸せの味がする。






口内に戻ってきた飴を、虎徹の白く光る歯牙が噛み砕いた。
がりがりと音をさせ、ごくりと嚥下する時、
上下に動いた喉仏が、まるで先ほどの飴のようで
甘くおいしそうだなと思ってしまって、
バーナビーはまた、虎徹に近づいて
虎みたいに牙をむいて首に噛みついた。










「虎徹さん」
そう呟いた声は、糖度百パーセント。
自然に落ちるまぶたまでもが甘い。




























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