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□もう、要らない
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雨生龍之介は誰にも理解されたことがなかった。


それは当然のことであるし、そもそも彼を理解出来る者がごろごろ転がっていたら日本という国は終わっている。


――しっかし何で皆気持ち悪がるのかねえ。






龍之介にとって血の赤は何よりも美しい色であったし、殺人は芸術だった。

誰にも理解されない嗜好ではあるけれど、龍之介はそれを止めようとはしなかった。



――まあこれが俺の趣味だし?別に他人に理解を求めている訳じゃない。




自分が楽しめれば良いのだと、そう割りきってしまえば他人と違うことは怖くない。


他人と違うことは寂しくない。




――さて、今日はどんなCOOLを見つけようか。




誰にも理解されないものを求めながら、龍之介は一生を送るはずだった。








「リュウノスケ、貴方は本当に素晴らしい」



その言葉を聞いたとき、心臓が止まる気がした。



「貴方は最高のマスターです」




素晴らしいと、言われた。



誰かに、理解された。




「このような殺し方を思いつくなど、やはりリュウノスケは天才なのですね」




――あれ、おかしいな。




誰にも理解されずとも平気だと思ってたのに。


共感などされずとも、毎日が楽しかったはずなのに。




――俺、嬉しいんだ。旦那に褒められて、凄く凄く、嬉しいんだ。




「旦那〜」

「どうしたのです、リュウノスケ?」

「俺、旦那に会えて良かったわ」



無垢な異常者は、天使のような微笑みを浮かべて見せた。



「やっぱり俺、寂しかったのかも」




心の底では、理解されないことが寂しかったのだと今更ながら気づいた。



「でももう、理解者は要らないや」





――だって、俺には旦那が居るから。















貴方さえ居ればもう理解者なんて要らない。もう、寂しくなんてない。




キャス龍てか龍キャスじゃね?って今思いました。

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