過去拍手

□アサリと聖職者Ver4
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腹黒×山本 vs 腹黒



「なぁ、俺にチョコは?」

『ん、武の家に送った』

「そんなわけねーだろ」

もう今年で三年目この嘘に一年目は騙され去年は見抜くようになった

チッ武も学習するんだねー』

「舌打ち聞こえてたからな、あと俺は馬鹿じゃねぇし」

『あーはいはい、そうですね』

投げやりにこたえられてイラッとする

「今年のチョコは?」

イラつき交じりに問い返せば彼女はすんなりとチョコを出す

「おっ、今年は持ってたんだな!」

『まぁね、…ねぇ、食べさせてあげようか?』

「まじか!」

嬉々として返せばうんと帰ってくる

『ハイ、あーん』

「あーん」

ぱくりと食べればたちまち広がる辛さ

「ぶほぁっ!!」

俺はあまりの辛さに噴出した

『うわっ、きたなっ』

慌てて持っていた水を飲み干す

「何、、いれた…?」

『うーん…
わさび?』


ニッコリと黒い笑みで返ってきた

くそ…

また、今年もかてねぇのかよ

『もー、武ったら泣くほどからかった?』

だなんて他人事のように言う

むかつくからお返しだ

覗き込んできた彼女の腕を引っ張ってキスをする

『ふ…んあっ…からぁっ!!』

辛いと言いながら泣き出した彼女

「ふん、男心をもてあそぶからだぜ?」

俺も彼女と同様に黒い笑みで返す

『うっ…く…武の、馬鹿ぁ…っ』

へたり込んでまじ泣きしだした彼女にぎょっとする

「なっ・・・ごめんて!」

俺はワサビの味に慣れているが彼女は慣れていない

そんな解りきっていることに気づかずに好きな子を泣かすなんて俺は最低だ

『うっく…ヒック…』

泣きやむ気配のない彼女に俺は言う

「マジでごめんって!なんでもするから泣き止んでくれよ…」

『言ったね』

「へ?」

にやりと笑っている彼女

どうやらさっきのは嘘らしい

「お前っ…」

『なんでもしてくれるんだよね?』

「…っああ、」

男に二言はねぇ

『じゃあ、私を武のお嫁さんにしてね…?』

「は?」

目が点になった

『武のお嫁さん』

その言葉に俺は一生こいつにはかてねぇと悟った




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