過去拍手

□アサリと聖職者Ver4
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純粋×獄寺 vs 純粋




夕暮れの並盛を俺とあいつが歩いている

今日はバレンタインデーで教室しかりあの雲雀のいる応接室でも一騒動あった

10代目も野球馬鹿も各々の彼女からチョコをもらっていた

でも俺はまだ隣を歩くこいつから貰っていない

二人で歩く帰路は無言で気まずくって

互いの顔すらまともに見れてないんだ

『あ、隼人君…私ここで…』

「ん、ああ」

じゃぁねと小さく手を振ってあいつは家のあるほうへと歩いて行ってしまった

チョコをもらえなかった悲しさと意気地なしの自分に腹が立つ

俺も帰るか…と歩き出したときあいつが叫ぶように俺を引きとめた


『隼人君!!』


振り返ると息を切らしたあいつが俺のすぐ近くで膝に手をついて息を整えていた

「ばかっ、お前体力ねぇくせに『はいっ、これ…ちょこ…』は?」

息の整っていないあいつが俺の差し出していたのはあいつ好みのラッピングが施された箱

『あのね…私ドジだから…隼人君のチョコだけ家に忘れてきてたの』

俯いて耳まで真っ赤にしたあいつ

『隼人君、ちょこ…私が渡してないから、ため息ついてたでしょ?』

俺、態度に出てたのか…

『ごめんね…遅くなってごめんね?』

顔をあげたあいつと視線が交わる

「別に…いいんだよ。お前から貰ったことに意味があるんだからな」

『え?』

きょとんとしたあいつに言う

「お前から貰うチョコが一番だって言ってんだよ!」

きっとおれの顔も夕焼けの空のように赤いんだろうな…

なんて、くだらねぇことを思いながら嬉しそうに笑ったあいつの顔にドキッとした





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