夕凪に佇む。

□最下位
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某所の寝室。
昼下がり、勢揃いした人達は床に座る主人を見ていた。正確に言えば主人の手元にある数本の割り箸の刺さった筒を見ていた。



「これより、次席以下を決めます」


一角が廊下の縁側で寝そべっていた。苺猫等とアイスを食べながら心地良い千代の凛とした声を聞いていた。



「手合わせでしたが私がこんなんで…出来ないのでくじ引きにします。」

「副隊長はどうするんです?」

「副隊長もですよ」


凪は目を丸くして、開いた口を手で塞いだ。



「子猫、子狐いらっしゃい」


一角の腕の間からするりと抜けて行きパタパタと尻尾をふり走り千代の傍に行く。それをごろりと転がり千代を見た。


「さ、二人で回って来なさい。」






副隊長達をくじ引きとは有り得ない発想だ。
だが、間違いなく千代の次は立夏だ、その次が猫狐、夕凪。翡翠達も強いが立夏とは別格だ。

苺猫や甘狐達がふりふりと尻尾をふり、回ると各々リアクションをとっていた。


千代の前に行き並び紙を渡して名簿に記入していく。


「千代…様…わた、しっ」


「りつ、まだ泣いてるの?」


永年の千代に対する態度に立夏は泣いていた。


「ごめんね…凪が酷いこと言ったでしょ」


「う、ん」


「…りつも千代様も酷いねぇ〜夕」

「…いや、ひでぇだろ」


背中を摩っていて立夏の涙を拭うと笑顔になる。


「傍に居て、立夏」


「はいっ」






そんなこんなで決まった名簿を見ていて驚く。



「…千代、これ…良いのかよ」


「うん、良いの」




ふわりと笑う千代。
少し面白くない。




「旦那様ぁなぁにむくれてんすかァ?」


「甘狐…尻尾逆なですんぞ」


「っ!!」




泣きながら千代の傍に行き、静かに目を閉じた。







偽りの静寂に胸騒ぎがした。
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