965小説
□人身売買
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『出会い』
青峰×若松
金持ち×売り者/普通の青年
ガチャ
「これはこれは青峰様、またお越しになりましたね。」
「ああ、今日は新しいの入ってんだろ?」
「ええ、若い男が5、若い女が9に、珍しく半獣人が3でございます。」
「そうか」
「実物はこれからのショーにてご覧下さい。」
「ああ」
ここはよくに言う、人身売買が行われる場所。
幼い男の子から人魚や半獣人という珍しい生き物まで売り買いされる。
政府は、この人身売買を見放している。
正しく言えば、この国の大統領も人身売買を行っている。
人身売買と言っても、世にいう奴隷などのようなものばかりではない。
お手伝いさんとして働く者、精処理人形として相手の欲求を満たして自分も同じく満たす者、物珍しく見せることで金をがっぽり稼ぐ者。
貧しい者は自ら身を投げだし、自身を売ることもある。
しかし、今回買われる者は、金稼ぎの奴らのためだけに人を売る奴に捕まってしまった者。
薬を嗅がされ、気絶されられそのままこの人身売買の場所に連れてこられたのだ。
世の中には物好きが山のようにいる。
若くて白い、目付きの悪い男は高値で売れるのだ。
調教のしがいがあると。
─────
『さあ皆様、今回初めての方も、常連の方も、今日は運がいい!!珍しい生き物が手に入りました!!
その生き物とは半獣人!!人間のような容姿に加え、頭には動物とはなんら変わりない耳があり、お尻にはゆらゆら動めく尻尾が付いており、性欲の強さは野生の動物よりも強いと言われております!!さあでは登場してもらいましょう!!兎の半獣人の──』
(…つまんねぇ)
人身売買の常連、青峰は退屈していた。
目的は調教しがいのある若い男。
男は女のように妊娠もしないし、なにより中の締め付けが気持ち良い。
しかも青峰の性格はドSときた。調教が好きなのは言うまでもない。
金稼ぎが目的の女は出てくるものの、これと言って美人な奴がいるわけでもなく。
(あと何人残ってたっけ?)
そんなことを思っていた矢先、
『お次は若い男でございます。白い肌にまだ未経験という調教しがいのある男でございます!名前は若松孝輔!!スタートは100万円させていきます!!』
目的に当てはまる者が見つかった。
顔はこれまた強気な顔つき。
ドS心が疼く。
『中身を見ることもできます。如何なさいましょうか?』
客は大いに盛り上がった。
『ではお客様のご期待にお答え、お見せいたしましょう』
若松という男は全裸にさせられ、これ以上とないくらい顔を真っ赤にさせた。
『まだ未発達の桃色の乳首でございます。
そして誰にも触られたことのないアナル。
調教が是非したいというドS心満載の方は、購入してみてはいかがですか?』
つぅと遠慮気味に触れば、若松は少しくすぐったいのか、小さく身震いをした。
『では皆様、オークションを開始致します。100万円、スタート!!』
「200!!」
「300!!」
値は跳ね上がっていく。
それほどまでに男は、綺麗な体だった。
「2億」
いきなりの額の登場に、周りは愕然とした表情で声のする方を見た。
「2億だ、それ以上出せる奴はいるか?」
喋ったのは、いかにもヤクザ、そんな印象を受ける40代の男。
周りはシンと静まりかえった。
「3億、でどーだよ」
それを打ち破ったのは青峰だ。
『…こ、これ以上出す方はいらっしゃいますか?』
「…今回は引き下がりましょう」
2億を告げた男は、静かにそう言った。
『ではお客様、右の係員の所で、手続きを行って下さい。』
「ああ」
『ではお次の者は──』
青峰は静かに笑っていた。
楽しい玩具を手に入れた子供のように、無邪気に。
───
「この場でお支払いと、後払いがございますが?」
「この場で払う」
「かしこまりました」
「おい」くいくい
「はい」
ガチャ
「おら、きっちり3億だ」
「では確認のため、中の方へ」
「ああ」
ガチャ
「こちらがあなたのお買い求めいただいた者でございます。ご確認している間にじっくりと眺めていて下さい」
「…ああ」
「…」キッ
なんて強気な目だ。
この目を恐怖と絶望で満たして、俺の
玩具にしてやろう。
「いいなお前、そそられる」
したなめずりをしてやれば若松は一層強い目で睨んでくる。
「おいおいそんな睨むなよ、これからお前の世話してやるんだぜ?一生遊んで暮らせるなんてお前らみたいな庶民には無理だろ?感謝してほしいくらいだぜ」
「…」
「何か言えよ」
「…死ね、この変態野郎」
「…ハッ」
こんな気持ちになったのは何時以来だろう。
じっくりと時間をかけて調教したくなった。
「いいなお前、ますます気にいった」
「ぐっ…!」
本気は出さないが強めに蹴ってやれば静かになった。
ああ、心が満たされる。
「お客様」
「ああ?」
「確認が終わりました。きっちり3億ございます。では、どうぞお持ち帰り下さい。」
「ああ」
これからが、楽しみで仕方がなかった。
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