オリジナル小説 長・中編

□あの日の約束
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「ふーゆくん!あそぼ!」

「いいよー」

まだ幼稚園にあがる前。

近所にあるちょっとした空き地でよく遊んでいた。

遊びは鬼ごっことか、電車ごっことか。

体を使う遊びが多かったように感じる。

朝から夕方まで1日遊んでいた気がする。

この頃はどっちかって言うと自分の方が相手を引っ張るというか。

割と目立つことをよくしていたと覚えている。

雨が降るとお互いの家へ行ってかくれんぼ。

毎日のように遊んでいた。




ある日。

外を思いっきり駆け回っていたら転んでしまったことがあった。

派手に転んで、膝が血だらけになるくらい。

今なら冷静になって手当てを受けられるとこまで行くだろうけど、その当時はパニックになって。

ただ泣き叫ぶしかできなかった。

近くに大人の人がいなくて。

痛くて。

そんな時に冬くんがやってきて、

「大丈夫?」

って駆けつけてくれた。

冬くんもパニックだったらしく、半べそをかきながら、

「大丈夫だよ!大丈夫!今すぐお母さんの所戻ろう!」

励ましてくれた。

冬くんが掴んだ手は震えていて、その怖さは十分に伝わってきた。

でもその震える手には何か強い思いが伝わった気がした。



そのあとすぐ母親達のところへ行って手当てしたお陰で大きなケガも無く傷も残らなかった。

残ったのは冬くんのなぜか感じた熱い思い。

あの時の手が忘れられなかった。





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