オリジナル小説 長・中編

□君が生きてるということ
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「お前、それはぜってー違うんだよ。」

「いや、俺は間違ってない。」

久しぶりのお互いの休み。

そんな休日を幼馴染であるこいつと呑むことに使った。

俺の名前は道明寺智義(ドウミョウジトモヨシ)

年齢は24歳。社会人7年目だ。

東京の空港のグランドサービスという仕事をしている。

その中でも主にトーイングという作業を受け持っている。

トーイングとは飛行機をバックさせる時に車輪を操作し、所定の位置まで動かす仕事。

昔から飛行機が好きで高校を卒業してこの仕事に就いた。

そして向かい側に座っているやつは上ノ太子昴(カミノタイシスバル)

こいつも同じ24歳。社会人2年目。

こいつは大学へ進学し、その後客室乗務員をしている。

男なのに客室乗務員をしているなんとも珍しいやつだ。

テレビや雑誌でもよく取り上げられているらしい。

そんなあいつにちょっと嫉妬しているというかなんというか…

「だから何でそうなるんだよ。」

「それはこっちのセリフだ。」

なぜケンカしてるかって。

俺にもよく分からない。

いい具合に酔いが廻ってきて。

気づけばケンカになっていた。

「もういい、帰る。」

折角の休みなのになんでこんなことにならなきゃいけないのかと思いながら席を立った。

いつもならここで昴は「悪かったよ〜。」とすがり付いてくる。

基本ケンカが嫌いで、気が弱いやつだから。

しかし今日に限って…

「フン、勝手にしな。」

珍しくケンカ続行の姿勢だ。

「言われなくても勝手に帰ります〜だ。」

こんな小学生みたいな会話。

くだらないケンカ。





そう思っていた。




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