静雄
□聖辺、
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「渡草さん、渡草さん!今あそこの公園で聖辺ルリがロケしてるらしいっすよ!」
「今ならまだ行けそうだよー。」
大量の電撃文庫を持った狩沢と遊馬崎が門田と渡草が待つワゴンへ駆け寄った。
「・・・まじか?」
門田は驚いたように身体を硬直させた。
渡草はハンドルを握って俯いていた。
「・・・渡草さん?」
『聖辺ルリ』の大ファンである渡草が冷静なことに驚き、遊馬崎は渡草に声をかける。
よく見ると、ふるふると小刻みに震えている。
「・・・遊馬崎、狩沢。よくつかまっとけ。」
門田は冷や汗を流しながら二人にそう告げた。
「「へ?」」
二人が言葉を発した、その瞬間。
ワゴン車がものすごいスピードで発車した。
「これは・・・5分くらいでつくな。」
門田は後ろで叫んでいる二人を気にせずそう呟いた。
♀♂
同時刻。
平和島静雄は池袋内の公園に居た。
弟の幽が演技をしているのをじっと見ていた。
「・・・あいつ、変わりすぎだろ」
迫真の演技をする弟を見て呟く。
――あいつも頑張ってんだから、俺も仕事頑張らないとな。
そう思い、ポケットからタバコを取り出した。
すると――・・・
「がはっ?!}
何処からか、男の呻き声が聞こえた。
それは一回ではなく、何度も、何度も。
自分の後ろから聞こえてくる呻き声に疑問を感じた静雄は後ろの木を掻き分け、そこから顔を出して覗いて見る。
すると、そこには、
「なんだ、弱いじゃないの。」
血まみれの少女が男を踏んでいる光景が目に映った。
踏まれている男は気絶しているのか、微動すらしていない。
少女はその男の背中を思い切り、踏んだ。
バキッという音が、耳を支配した。
「喧嘩うってきたのはアンタでしょ?さっさと相手しなさいよ。場合によっては・・・
殺しちゃうかもよ? 」
少女が吐いた言葉には、冗談がまったく感じられなかった。
―――このままだと、あの男は、
間違いなく、殺される。
そう思った静雄は少女に声をかけた。
「待て、そいつ、死ぬぞ。」
木を更に掻き分けて、身をその場へ出す。
そして、少女の目の前にたった。
すると、少女が口を開いた。
「はぁ・・・・・・?アンタには関係ないでしょ。」
「・・・いや、確かに関係はねぇけどよぉ。」
「関係ないなら話しかけないでよ。」
プチッ。
静雄の中で、何かが切れた。
*聖辺、
続く
管理人;エイプリルネタはちょっとスランプ気味なので停止中です。すみません><
臨也さんのシリーズも停止させてしまうことになるので、早めにネタを考えたいと思います。
少し待ってくださるとうれしいです><