揚げモノ

□星の夜に
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ナオヤ君から真夜中に電話が掛かってきた

「なまえ、今ちょっと家からでれる?」
「え、何こんな夜中に、もしかして愛の告白でも・・・」

ブツッ

「愛の告白」の「告白」の部分言い終わる前に電話切られちゃった

冗談なのにナオヤ君ってば相変わらず、ツンデレだなー


「まあ、ナオヤ君の誘いも断るわけにはいかないし、外に出てみますか」

私は外の肌寒い気温への対策として、箪笥からパーカーを引っ張り出した

「ん、あれ?
 家から出るのは良いものの、ナオヤ君は今何処にいるんだろ」

「まあとにかく、一回外に出てから電話もう一回掛けてみよう」

そう言い残して 私は家の玄関口の扉を開け、外へ出た

電柱のところで誰かが立っている
街灯の下にいるため、よく顔が見えない

「遅い、なまえ」

私の方へ歩いてきた背の低い男の子
ナオヤ君だ

「わ、ナオヤ君なんでここに・・・」
「電話掛けた時からここにいたんだけど」
「え、そうだったの?!」

パーカー探すの5分くらい掛かったし、随分待っててくれたんじゃあ・・・

「ごめんナオヤ君、寒かったでしょ?」
「別に」
「本当?」
「嘘、寒い」
「ほらやっぱり、上着持ってくるから待ってt」

家に戻ろうとした時、手首を掴まれた
掴まれたところを見ると、細くて白い腕が伸びていた

「いい、手繋いでれば、温かいし」
「うぇっ?!え、ちょ、そんな、え、えええ」

男の子と手繋ぐの初めてなのに!!
ウワアアア 恥ずかしいいぃぃいぃぃ!!

「何顔赤くしてんの、変な顔」
「う、うううるさいよ!!!こっちは手繋ぐの初めてなの!!」
「僕もだけど」

手の方に目が入ってて、ナオヤ君の顔を見てなかった
改めてナオヤ君の顔を見ると、少し赤い・・・
気がする

「顔赤いよ、ナオヤ君」
「うるさいよ、赤くないし」
「またまたー」
「少し黙ってらんないの?」
「この人酷い」

結局手を繋いでたままで、ナオヤ君に手を引かれて目的地へと向かった

ナオヤ君に手を引かれて着いたところは、
星が綺麗に見える小高い丘だった

「わあ、ここ凄いね!!」
「コウスケに教えられた」
「え、なんで?」
「いいじゃん、なんでも」

暫く星空を眺めていると、ナオヤ君が急に声を掛けてきた

「なまえ」
「何?ナオヤ君」

ナオヤ君が私の前に立っている
月の光のせいでナオヤ君の顔がよく見えない

「僕、ずっとまえから」

ナオヤ君は横を向いてはあ、と息を吐いた
そして、またわたしの顔を穴が開くほどにじっと見つめた


「なまえが好きだった」



その瞬間、ざあっと風が吹いた
私の髪は風に触れて、踊るようになびいた



「え、それって」
「・・・やっぱ、今の無し」
「え、なんで」
「無し」
「ちょ、ちょっと待」
「無し」

ナオヤ君はくるっと後ろを向いて、足早に歩き出した

「え、ちょっと待ってよ!」
「・・・」
「ナオヤ君!」
「・・・」
「〜〜っ、あーもー!!」

私はじれったくなって、ナオヤ君を止めようと抱きついた

「う、わっ、なまえ、何す」
「わ、私も!!」

ナオヤ君の言葉を止めて、叫ぶ


「ナオヤ君が好き!!」


ナオヤ君は驚いたように私を見た


「好きなの、私も、前から!!」
「・・・ふーん」
「え、何その反応ひど」

私が言い終わる前に、唇がキスで塞がれた

「な、」
「じゃあ、付き合おう」
「え、」
「嫌なん?」
「・・・嫌じゃない!!」
「じゃあ、決まりな」

月の光が私達を優しく照らしていた

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