海のような君へ
□笑って
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「あ、空。来てくれたんだ!!」
今日の診察が終わって、病室に戻ると空がいた。
前来た時は部活があったみたいで、部活のユニフォームを着ていた。
今日は部活がないみたいで私服を着ている。
「元気そうね」
「うん、空も元気そうだね。
部活、忙しいんでしょ?」
「そうね。でも今日は久し振りに休みなの」
「そうなんだ。
空、部活が忙しいから、あんまり会えないからすごくうれしい」
私の言葉に空は優しく笑った。
「でも、太一は毎日来てるんでしょ?」
「うん……毎日来てくれるから嬉しいんだけど……」
「どうしたの?」
「ちゃんと、部活行ってるのかなって……
それに宿題とかもやってるのかなって……」
「ふふ」
何故かいきなり空が笑い始めた。
「空?」
「太一の事、心配なんだね」
「当たり前だよ。
太一は仲間で、友達なんだから」
私の言葉に空は、笑うのをやめて真顔になった。
「ホントにそれだけ?」
「そ、そうだよ……」
「ホントにホント?」
「う、うん……」
「はぁ______」
空が大きなため息をついた。
笑ったり、真顔になったり、いきなりため息をついたり……
「(鈴って、思っていた以上に鈍感ね)」
「空……どうしたの?」
「なんでもないよ。
ただ、太一が可哀想だなって思っただけだから」
「どうして、太一が可哀想なの?」
「それは、私からは言えないわね。
それより検査とかは大丈夫なの?」
「あ、うん。
以上は特に見えないって。
これなら9月から学校に言っても大丈夫だって」
「なら、後は勉強だけね」
「それは光子郎君や丈さんに教えてもらってるから大丈夫だよ。
でも……やっぱり難しいね」
いつの間にか、話が変わっているけど……まぁ、いっか
「じゃあ、一緒に勉強しましょうか」
「でも、いいの?」
「私も宿題するからね。
分からないことがあったら教えてあげるよ」
「ありがとう、空!!」
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