海のような君へ
□キミの
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「………よっ」
「太一……それに、みんなも……」
一乗寺君との戦いが終わって、二日ほどが経ったその日。
大輔君たちや太一だけじゃなく、空も大和も光子朗君も丈さんもいた。
いないのはアメリカにいるミミちゃんだけ。
「鈴」
太一は私に近づくと、自分の手を私の頭に置いて、優しく撫でた。
「お疲れ。
よく頑張ったな……」
すごく優しい声だった。
その声に、涙が出そうになった……
頑張ったのは私だけじゃないのに……
大輔君たちも頑張ってくれたのに……
自分でもよく分からない感情に、泣きそうになった。
「なぁ……鈴、話してくれるか?
3年前…どうやってデジタルワールドに行ったのか、そしてアポカリモンとの戦いが終わった後、どこでなにをしていたのか…」
太一の言葉に私は頷いた。
「でも………どうやってデジタルワールドに来たのか自分でも分からないの。
それに……アポカリモンとの戦いの後も……」
「どういうことなの?」
空の言葉に私は少し考えた。
どうやって伝えればいいのか…分からないから。
「あの時……私、デジタルワールドにいたいって思ったの……
そしたら……気づいた時にはデジタルワールドにいて………
それにアポカリモンとの戦いの後も……気づいたら、ふわふわとした空間にいて…誰かが助けを呼んでいて………」
「………鈴さんの意志でデジタルワールドに行ったり、謎の空間にいたわけではないようですね」
「うん………ごめんね。
なにも知らなくて……」
「自分でも分からないのに、謝る必要なんてねぇよ鈴」
「うん………」
「なら、ミヨモンが進化した理由も分からないんだな?」
太一の言葉に私は頷いた。
「ごめん、ほんとうに分からないの……」
「鈴お姉ちゃん、謝らなくていいよ!!
分からない事を答えることなんてできないんだから」
「タケルの言う通りだ。
無理に答えなくてもいいんだ」
「うん………」
「今の時点で分かっていることは、鈴さんには特別な何か≠持っているということですね」
「特別な何かって……
泉先輩、それは何なんですか?」
「それは分かりません。
今はなにも分かっていませんからね」
「でも特別な何かって……」
「大丈夫ですよ、鈴さん。
鈴さんは鈴さんだから」
「……うん」
「……………なぁ、鈴。
まだ話してないことあるよな」
「あ…………」
やっぱり、太一は誤魔化せないな………
「なんで、デジタルワールドに行きたいって思ったんだ?
あの時、ヴァンデモンと決着付ける前には、すでにデジタルワールドに行ってたんだろ?
なにが、あったんだ?」
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