海のような君へ

□できることは
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「鈴……」

いまだ汽車から降りない私を太一はじっと見ていた。

そんな私たちを見て、タケル君たちはなにも言わなかった。

「………久しぶりだな」

先に口を開いたのは太一の方だった。

「うん…久しぶりだね」

太一は私にいろんなことを聞きたいはずのに…それを言わない。

それに…もし今聞かれても私は答えないと思う……

「ほら、さっさと降りてこいよ」

「うん」

太一は私に向けて手を伸ばした。

私はそれを拒むこともなく、太一の手を掴み汽車から降りる。

「そいつが鈴のパートナーなのか?」

私の腕の中にいるミヨモンの頭をたちは撫でる。

「僕はミヨモン」

「………なんか、初めて会った気がしねぇな」

「……だって、これが初めてじゃないもん」

「なんか言ったか?」

太一にはミヨモンが言った言葉は聞こえなかったようだ。

「なにも言ってないよ」

「ならいいけどよ……
それより、アグモンを助けてくれたのは鈴なのか?」

「ううん、私は外に連れ出しただけ」

「誰かがね、僕のイービルリングを壊してくれたみたいなんだ」

「一体、誰が………」

「お兄ちゃん、捜索は後にして先にアグモンを安全な所に連れて行きましょう」

「そうだな」

「カイザーの奴を倒さないんスか!?」

「今はアグモンを安全なとことに連れて行くのが先だ」

「太一さんの言う通りだよ、大輔君」

太一とタケル君に諭され、大輔君は渋々頷いた。

「鈴お姉ちゃんも行こう」

タケル君は私の返事を聞く前に、私の手を握った。

「あっ」

その拍子に腕に抱えていたミヨモンが落ちてしまった。

「だ、大丈夫!?」

「平気だけど……タケルの馬鹿…」

「ごめんね、ミヨモン」

落ちたミヨモンのもう一度抱える。

「早く行くぞ!!」

「あ、うん」

太一の声…どこか不機嫌そう…

「(なんで…こんなにイライラしてるんだ?)」

「(もしかして、太一さん………)」

「(幸村お姉ちゃんにお兄ちゃん、タケル君……三角関係ね…!!!!)」

「(幸村、モテモテだね……)」

「(後でちゃんと挨拶をしなければ…)」







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