桜の舞う世界で
□六訓
1ページ/3ページ
「片手で大丈夫か?」
「これぐらい平気だ。
(つーか、もう治ってるし)」
現在俺は、土方と一緒に江戸の町を歩いている。
なんでも土方の生家の「石田散薬」を売る為だ。
あれに効力があるのかは、今だに分からない。
俺はその石田散薬を売る、土方の手伝いをしている。
「あんまり無理するんじゃねぇぞ」
「片手が使えないだけで、みんなが大げさなだけだ。
あいつらなら、ぜってぇに心配なんてしねぇし」
「あいつら?」
俺の最後の言葉はどうやら土方に聞こえてしまったようだ。
「あいつらってお前の仲間か?」
「…………まぁ、そうだな」
ただの仲間って言うだけじゃない。
同じ戦場で戦う、戦友というやつだ。
もしくは同じ釜の飯を食った仲間だな。
でも、それだけじゃない。
銀時、晋助、小太郎は俺にとっては幼馴染…というやつだ。
「土方、雨降りそうだな」
話を変えるように、空を見上げる。
空はすでに暗くなり始めている。
「急いで帰らねぇとな」
そう言って土方は足を速める。
でもさりげなく俺にスピードを合わせてくれている。
面倒見のいい奴だな。
これはひそかにモテるタイプだ。
でも、俺のスピードに合わせなくてもいいけどな
.