桜の舞う世界で

□六訓
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「片手で大丈夫か?」

「これぐらい平気だ。
(つーか、もう治ってるし)」

現在俺は、土方と一緒に江戸の町を歩いている。

なんでも土方の生家の「石田散薬」を売る為だ。

あれに効力があるのかは、今だに分からない。

俺はその石田散薬を売る、土方の手伝いをしている。

「あんまり無理するんじゃねぇぞ」

「片手が使えないだけで、みんなが大げさなだけだ。
あいつらなら、ぜってぇに心配なんてしねぇし

「あいつら?」

俺の最後の言葉はどうやら土方に聞こえてしまったようだ。

「あいつらってお前の仲間か?」

「…………まぁ、そうだな」

ただの仲間って言うだけじゃない。

同じ戦場で戦う、戦友というやつだ。

もしくは同じ釜の飯を食った仲間だな。

でも、それだけじゃない。

銀時、晋助、小太郎は俺にとっては幼馴染…というやつだ。

「土方、雨降りそうだな」

話を変えるように、空を見上げる。

空はすでに暗くなり始めている。

「急いで帰らねぇとな」

そう言って土方は足を速める。

でもさりげなく俺にスピードを合わせてくれている。

面倒見のいい奴だな。

これはひそかにモテるタイプだ。

でも、俺のスピードに合わせなくてもいいけどな





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