桜の舞う世界で
□伍訓
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「こんなのはどうかしら?」
…………誰か助けてくれ
いやマジで、300円あげるからぁぁああ!!!
「きっと似合うわ」
近藤みつ__近藤の奥方が持っているのは着物。
それも俺に着せる着物だ。
「あ、こっちもいいわね!!」
そういって畳に散らばった複数の着物に目を移す。
正直、俺はこんな女らしい着物は来たくない。
ちなみに今は藤堂や斎藤の服を借りている。
身長が一番近いしな。
それに俺が着ていた服は、血みどろで所々破れている。
今は使用していない。
たぶん、どっかにある。
「俺はあんまし、こういうの着たくねぇんだけど…」
「ダメよ。女の子何だからもっと可愛い格好しないと」
あんまりそう言うのに、興味ないんだけど……
「いや、別に俺は今のままでも……」
「こっちもいいけど、そっちもいいわね……!!」
「聞いてねーし」
誰かこの人を止めてくれ。
「僕はこっちの方がいいかな」
「おい、いつからテメェはそこにいた」
「さぁ、いつからだろうね。
で、どうかな?僕が選んであげた着物は」
「あら、可愛いわね!!」
沖田が俺に見せたのは、白い生地に、桃色の桜の刺繍がされた着物だ。
「確かに可愛いと思うが……」
「なら決まりね!!!」
そう言って近藤の奥方は沖田から着物をひったくり、俺に着させようとする。
「いや!!確かに可愛いと思うと言ったが、着るなど一言も言ってねぇ!!!」
「えー、せっかく僕が選んであげたのに?」
「知らん!!!そもそも俺は白より黒の方が好きだ!!!」
「だったらこっちは?」
次に見せたのは、黒い生地に、赤い蝶の刺繍がされた着物。
「確かに俺の好みだな。………あ」
「なら決まりね!!」
し ま っ た…………!!!
つい口が滑ってしまった!!!
「楽しみだね、渚ちゃんの着物姿」
そういってにっこり笑う沖田総司に、殺意が芽生えたのは言うまでもない。
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