桜の舞う世界で

□四訓
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試衛館道場で保護を受けることになった俺、志柳渚。

彼らには感謝している。

俺の知っている場所とは全く違う世界。

彼らの知らない世界に生きていた俺を保護し、衣食住を提供してくれるからな。

「左腕の怪我は………完全にふさがったようだな」

保護が決まって翌朝。

俺の怪我は後もなくなっていた。

「今回は少し遅かったな………まぁ、しばらくは隠しているか」

ある程度の怪我ならすぐに治る俺の体質。

普通の人ならこの体質を気味悪がったりする。

せっかくここで生活できるから、こんなことで居づらくなるのは勘弁だ。

「おーい、##NAME2##」

部屋に藤堂が入ってきた。

………せめて一言ぐらい言えっての

「何の用だ?」

「薬持ってきたから飲めって」

「薬……?」

そう言って藤堂が見せたのは石田散薬≠ニ書かれた袋

「それって、効果あんのか?」

俺の言葉に藤堂は目をそらした。

「…………まぁ、人それぞれだな」

「それって意味ねぇだろ」

つーか、それってほとんど紛い物じゃねぇか。

「にしても大丈夫なのか?怪我の具合は?」

「まぁな、ほとんど治りつつあるが、まだ完全じゃねぇ。
押さえたら、痛みもあるしな」

「お前って……女のくせに口が悪いよな」

「うっせぇ、こういう口調にでもしねぇと舐められるんだよ」

俺はそう言う世界で生きている。

「でもさ、お前って女の口調似合いそうだな」

「…………」

藤堂がそう言った。

それも恥ずかしげもなく。

さらに笑顔で。

「お前さ、そんなこと言って恥ずかしくないわけ?」

「へっ…………?あ…………」

俺の言葉に自分が何を言ったのか思い出したようだ。

その証拠に顔が赤くなった。

「い、いや別に俺は!!!///
そんなつもりで言った訳じゃなくて!!」

「わーってるよ。
にしてもお前って面白いよな」

いや、面白いというより純情って奴だと思う。

「お、面白いって……」

「事実だろ?
ま、面白い奴は嫌いじゃないけどな」

そう言って笑う。

いや、自然に笑みが浮かんだんだ。

今まで緊迫した空気の中にいたから、こんなに穏やかな空気が久しぶりすぎて……






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