小説U
□眠れない、眠らない。
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犬夜叉には牙がある。
犬耳と長い爪、琥珀色した瞳に銀髪、そしてその牙が犬夜叉が普通の人間とは違うこと−彼が半妖であることが分かる外見の特徴だ。
初めてその牙を見たときは驚いたのをよく覚えている。しかし見慣れてしまったせいか、今ではもうなんとも思わない。
というか、牙がある犬夜叉こそが普通でそうでない犬夜叉なんてもう想像すら出来ないのだ。
だけどそんなあたしにも犬夜叉の牙に特別な感情を抱くときがある。
それはキスされるときだ。
しかも唇にではなく、首筋に−
首筋にキスされる、現代で言えばキスマークをつけられるときに、ちらっと覗く犬夜叉の牙はあたしを言いようのない気持ちにさせる。
なんと言えばいいか分からないが、まるで吸血鬼に血を吸われているような、不思議な、そして何かいけないことをしているような気分になるのだ。
子供のころ、若い女性ばかりを狙う吸血鬼は、なんて恐ろしい存在なのだろう、と思っていたが、吸血鬼のこの首筋を吸うという行為だけは、どうも嫌いになれない。
そのなんとも甘美な行為はあたしを骨抜きにしてしまうから。
まぁその行為をされて、あたしが思わず骨抜きになってしまうのは、日の光を嫌う本来の吸血鬼とは違って、新月−暗闇を嫌うあたしだけの吸血鬼限定であるけれど。
吸血鬼は若い女性の血だけを欲するものらしいが、あたしの吸血鬼はあたしのすべてを欲しがる。
既にあたしのすべては犬夜叉のものだというのに、なんて我が儘な吸血鬼だろう。
だけど犬夜叉が望むならあたしのすべてを捧げよう、むしろ、あたしのすべてを彼に捧げて死ねるなら本望だ、そんなことを考えているあたしは手の施しようがないほど重症らしい。
それに犬夜叉があたしのすべてを望むように、あたしも犬夜叉のすべてを自分のものにしてしまいたいと思っている。
人間とはなんて欲深い存在なのだろう。
だから吸血鬼と同じように、あたしたちは朝が来るまで眠らない。
ただただ、お互いを求め合う。
今夜もまた牙が見えた。
あたしはもう正気ではいられない。
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このお話も前からずっと書きたかったものの1つです!でも本編の方ではなるべく裏チックなお話は書かないようにしてるので、書けませんでした。だけど、どうしても書きたかったので、この拍手お礼文で書かせて頂きました☆いつものことですが、文章がまとまってない&意味不明でごめんなさい!
ところで…吸血鬼ってセクシーだと思いませんか?
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