小説2(大学生〜社会人)

□3年目の。(後)
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【Side A】



彼女の指定した近くの喫茶店に向かう。
奥の窓際の席に彼女は居た。

「あ、こっち」

「おう」

長居する気はなかったが、注文を取りに来たウェイトレスに「ホットコーヒー」と告げた。

彼女はの手元には既に紅茶が置かれていた。コーヒーが来るまで世間話で場をつなぐ。
頻繁に会ってるから、特に話すこともないんだけど。

「えーと…最近仕事はどうだ?派遣社員の期間、5月いっぱいまでだろ?」

「うん、おかげさまで順調。『あのこと』もだいぶ落ち着いてるし」

「そうか…」

その時、ウェイトレスがやってきて、オレの前に「お待たせしました」とコーヒーが置かれた。
ウェイトレスが去りしばらくして彼女が本題に入る。

「あのね。今の関係のこと、だけど」

「…うん」

「…。あのね、私、やっぱり隆也のこと好きだよ。ねえ、私じゃダメかな?今の彼女と別れて私を本当の彼女にしてくれない…!!?」

「ごめん」

躊躇はなかった。

「あいつのこと、これ以上泣かせられない。最初からお前の派遣が終わる5月末までの関係って約束だったけど…。アイツ気づいてたみたいで今朝泣いたんだ。オレはやっぱりアイツが一番大事、で。オレからこんなこと言える義理じゃないけど、少し早いけどもう終わりにしてくれないか…?」


『他のヒト触った手で触らない、で…!』


三橋の言葉がよみがえる。
最後に覗かせたオレへの独占欲。

三橋の気持ちが少しでも残っているなら。

オレを待っているアイツを早く探し出して抱きしめてやりたかった。


「そんじゃ、悪いけど…。『恋人のフリ』はもう終わり、ってことで…」

「待ってタカ…」

千円札をテーブルに置いて、席を立った。

三橋を探しに行こう。
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