神桃学園

□壱
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 むかし、むかしのはなしです。

 あるところに、おおきくて、それはそれはうつくしい、桃の木がありました。

 その木になる実は、万能の薬となり、おおくの人々をたすけてきたそうです。

 神のやどる木。

 人々はそうよび、たいせつにしてきました。

 しかし、ながい年月のあと。木の根本にとつぜん、おおきな洞があらわれました。それはまるで、地獄の入り口が、ぽっかりとひらいたような、ふかいふかい闇でした。

 洞からはわるい氣が流れだし、あたりの里をおおってしまいました。田畑はかれ、人々は病で死にたえました。

 しかし、ほんとうに恐ろしいことがおこったのは、ここからだったのです。





『むかしばなし-桃と鬼-』
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