神と悪魔の『神生力』U−@

□第一章
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 キーンコーンカーンコーン


 そして今の夜接夜にとって学校で一番楽しい時間がやってきた。


「昼飯だぁー!!」


 今までの鬱な気分を払うように、夜接夜は購買で買ってきた戦利品を机に並べ、そう叫んだ。


「お、夜接夜。鶏肉サンドをゲット出来たのか」

「ふっ、俺のダッシュ力を甘くみんなよ」

「そりゃ、礼を終える瞬間に走ったんだから、誰も追い付けないよ……」


 数人のクラスメイトが夜接夜に近付いてくる。
 最初こそ、やれ超能力者だ、やれ不良だと恐れられていた夜接夜だったが、そんなに怖くないことが分かると打ち解けるのは早かった。どころか、今では面白い人物としてクラスの中心人物にまでなっていた。

 今では授業終了の瞬間に教室を飛び出ようが、昼飯時に奇声を上げようが、みんなもう了解のうちである。「あぁ、またやってるよ」ぐらいにしか感じない。
 慣れが、夜接夜と周りの壁を着実に取り除いていた。


「そういや、文化祭どうする?」

「文化祭?」

「夜接夜はHRの時間は爆睡だったもんね」

「うん」

「胸を張って頷くことじゃ……まぁいいか。ウチの学校は文化祭を夏休み前に開くんだ。そんでこのクラスは劇とかの出し物をすることになったんだけど……」


 へー、と興味なさそうに呟いて夜接夜はサンドイッチにかぶりつく。


「まぁ、屋台とかは大変だからいいんじゃね」

「いやいや、なんか他人事のように言ってるけど、劇の主役は夜接夜だからね」


 その瞬間、レタスが夜接夜の口から放出されて宙を舞った。
 「汚ねっ!?」と夜接夜の前に座っていった男子生徒が仰け反る。


「ンな話聞いてねぇぞ!?」

「だから寝てたんだろ。はぁ……」


 呆れた友人は溜息混じりに言う。


「なんで俺!? こっち来たばっかの俺が主役とかおかしすぎるだろ!!」

「主役とか、演劇に熱を持っている人か、お調子者以外はやりたくないからさ、そしたら誰かに押し付けるのが楽なんだよね……寝てる人とか」

「テメェらまさか!!」

「いや、僕らじゃないよ」

「自然に上がったよね、夜接夜の名前」

「うんうん。寝てるから夜接夜でいいんじゃね、って誰かが言って」

「そんで全員異論無し」


 夜接夜は机に突っ伏した。多少強引な決め方だが、しかし完全に寝ていた夜接夜の自業自得だった。反論どころか、一言の異論の余地はない。
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