神様売りの少女

□幸せな話(1)
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 勉強――つまらない。
 運動――つまらない。
 学校――つまらない。
 友達付き合い――つまらない。


 人生――つまらない。


 それが河野の認識だった。


 いつものように起床し、いつものように用意された朝食を取り、いつものように学校へ行き、いつものようにテキトーに授業を受け、いつものように友達と呼んでいる奴らと喋り、いつものように帰宅し、いつものように……

 毎日それの繰り返しだ。小・中・高と飽きもせず変わらない日常。河野はそれに嫌気が差していた。


「ホント……つまんねぇ」


 何か精力的に活動すれば少しは変わるのだろうが、それも想像が付く範囲内での変革に過ぎない。それ以上にメンドクサイ。
 どうせ今日もまた日常を送り、コンビニに立ち寄りながらでも帰るだけだ。

 そう、河野は思っていた。


「神様、買いません?」

 コンビニで週刊誌を立ち読みして、何も買わずに帰宅する。そんな道の途中だった。
 後ろから突然声を掛けられ河野が振り向くと、そこにはボロボロのワンピースを纏った少女が微笑みを浮かべながら佇んでいた。


(なんだ……この子?)


 明らかに非日常。しかしそれに喜ぶよりも先に現実に目が行ってしまう。


(神様とか言ってたな。つまり宗教勧誘か。もしかしたら売春かもしれねぇが)


 残念ながら河野は宗教に興味はないし、また少女に欲情してしまう類の男でもなかった。
 つまり、この少女に抱いた河野の感想は、


「ウザい」


 だった。
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