神と悪魔の『神生力』
□第一章
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東京から南へ200キロ。そこには一つの人口島が建てられていた。ここは通称方舟。約四十万人が住む巨大な島である。
『チリリリリリリリリリリリ…………』
とあるマンションの一部屋でけたたましく目覚まし時計が鳴り響いた。電子化されているのにレトロな音を出すそれを、ベッドに頭を埋めたままの少年が手探りで探り出して上についているストップのボタンを押す。 目覚まし時計は一旦その音を潜めるが、一分ほどしてまた鳴り出した。
「うぁーー……」
俯せで寝ていた少年は目を覚まし、起き上がる。一度伸びをしてからけたたましく鳴る目覚ましの、上ではなく後ろについているスイッチを押す。これを押さないと鳴り止まない仕組みなのだ。
少年はそのまま洗面所に入る。顔を洗い歯を磨き、眠気が覚めてシャキッとした顔で洗面所を出る。
「さて」
腰に手を当てて少年は続けた。
「完全に遅刻だ」
余裕たっぷりで少年は呟いた。
九時ジャストのことである。