神と悪魔の『神生力』U−@
□序章
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「大変です!!」
背広に身を包んだ男がその部屋に飛び込んできた。だが誰も男を見ていない。その部屋にいた人間は全員が忙しなく動き回っていた。
ある者は耳に無線を当ててマイクに向かって怒鳴っている。ある者は携帯から部下に指示を飛ばしては、次の指示を送るために番号を打っている。ある者は地図を広げて真剣に何かを討論している。
男は一瞬ぽかんとすると、辺りを見回してとある人物を探した。その人物は真剣な面持ちで、地図の側に立ち部下の言葉に耳を傾けていた。
「沢村さん!!」
「君か。見ての通り今取り込んでいる。しかも三つもだ。業務など後回しにしろ」
「こちらも大変なんです!! これを!!」
男が沢村に一枚の紙を渡す。
沢村はとりあえず受け取って流しながら文章を読むが、
「……なんだと?」
もう一度内容を確認する。そして男に視線を向けた。
「これは確かなのか?」
「間違いないかと。映像にも残っています」
「……最悪だ。予想が当たるとは」
沢村は目尻を指で押さえて目を瞑る。一秒、二秒、時が過ぎる間男は沢村の側で不安そうに立っていた。
そして沢村が目を開けた。
「――今すぐ人名を向かわせろ!! 発砲及び重火器使用を許可する!! 目標は神寿夜接夜!! 何がなんでも絶対に確保しろ!」
「はっ!」
男は命令を受けると、焦りを隠そうともせずに部屋から走り去った。
沢村は溜息を吐く。
「やはり先の三件も奴の仕業か……。十二年前の戦争が続いていたとはな……」
沢村はそう呟くとすぐに次の作業へと移った。
戦争は始まっている。敵は待ってくれない。