放課後本屋さん

□高二、春、放課後の楽しみ
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 ぼーとしているといつの間にか降りる駅に着いていた。
 あの人のことを考えていると時間があっという間に過ぎているように感じた。
こんなことは初めてだ。


 家の明かりが点いていたのできっと父さんか千恵おばちゃんがいるのだろうと推測した

「ただいま」

 家に着くと千恵おばちゃんが晩御飯を作っていて父さんはリビングで本を読んでいた。

「お帰り!志歩ちゃん!もうすぐでご飯出来るからね!!」

「うん。晩御飯なに??」

「豆腐ハンバーグと絹さやの味噌汁よ〜」

「やった!どっちも好き〜!千恵おばちゃんの料理大好き!!」

 私の家は父子家庭なので時々千恵おばちゃんが家事をしに来てくれる。私にとって千恵おばちゃんはもう一人のお母さん。

「あら嬉しいわぁ」

 千恵おばちゃんすごく嬉しそう。照れてる姿がなんかかわいい。

 千恵おばちゃんは父さんのお姉さんで独り立ちした息子さんがいる。旦那さんは医者で家にほとんど帰ってこれないらしい。

 千恵おばちゃんは上機嫌で鼻唄を歌いながら作っている。
 
 父さんは静かに本を読んでいる。私の父さんは家ではお酒を飲まない。普通ならこの時間は晩酌をしてるのだけれど…。

 小学生のとき熱を出した。父さんがお酒を飲んだあとだったから車を運転できなくてタクシーで病院まで連れて行ってくれた。
 それ以来父さんはお酒を飲まなくなった。
「父さん!何の本読んでるの??」

「毛利元就の歴史小説を読んでいるんだよ。」
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