放課後本屋さん
□高二、春、放課後の楽しみ
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私は今まで生きてきて初めて人を好きになった。
こんな気持ちになったことはなかった。
多分これが「恋」というものなんだと知った。
私の好きなことは本を読むこと。だから趣味は図書館巡りと本屋巡り。
世間様から見ると私は「地味な女子」という位置付けだろう。放課後は図書委員の仕事をしたり、学校帰りに本屋に行っていろんな本を買ったりしてます。
昨日お小遣をもらったので今日は本屋に行き、欲しかった小説を買うことにした。
「志歩〜!お願い!!宿題手伝ってぇ」
教室を出ようとしたときに友人に引き止められた。
「えぇー!?私今から本屋行くとこだったのにぃ」
「親友より本が大切なのぉ!??」
うん。今の気持ちはそうです。
「てかその宿題先週のやつじゃない!?」
「今日の5時までに提出だって♪」
「自業自得じゃん!!知らないよ」
私は呆れて友人の塩田寿梨を本気で見捨てようとしたとき‥
「図書カードあげるからさぁ〜」
「‥‥‥‥」
このとき私の思考回路は‥うん
「何円分の図書カード?」
「1000円分だよ〜」
結局私は寿梨の宿題を手伝ったので遅くなってしまった。寿梨を恨み、図書カードをくれたことに感謝しながら本屋にむかった。
本屋に着いた。
ここの本屋は規模は小さいけれどいろんな種類の本が置いている。だからたまに店員さんに高いところの本をとってももらうことが何度かあった。‥が、この日に限って近くに店員さんがいなかった。でも脚立が近くにあったので自分で取ることにした。
「‥なかなか届かないなぁ‥」
脚立に登ったのはいいけどスカートをはいているのであまり高いところまで登れなかった。一応したに短パン履いているけどやっぱり恥ずかしい。かなり苦戦していると‥
「大丈夫ですか?俺が取りますよ」
店員さんがやっと来てくれた。
「あっ‥!お願いします。」
脚立から降りようとしたとき足を滑らしバランスを崩してしまった。
「わっ!???」
ガシッ
「大丈夫ですか!??足捻ってないですか?」
店員さんが受け止めてくれたのでどこも痛くなかった。
けど‥すごく恥ずかしいっ‥
「あ‥はい。大丈夫です。ありがとうございます。」
その時初めて店員さんの顔をみた。
‥カッコイイ‥。全然派手じゃなくて‥眼鏡がよく似合って‥美人な顔だった。
名前は「高橋」さん‥名札に書いてあった。
私は高橋さんに小説を取ってもらい勘定を払った。
「この小説‥とても面白くて感動する小説ですよ。分厚いですけど頑張って読んでくださいね」
「‥はっはい‥」
帰りの電車の中で私は高橋さんのことが頭から離れなかった。これが一目惚れってやつなのかな。