SLAM DUNK

□1、仕組まれたレモン味
1ページ/2ページ

高校1年の春でした。



骨が外れる瞬間て意外に分かるもんで、パスを受けた瞬間、視界が白黒になってバチって指が曲がらなくなる。
でも初体験だったためそれが何の衝撃だったのか分からなかった。
だけれどまだ授業中であと15分くらいで終わるのだから私はそのままバスケを続けた。
ちょっと曲がんないなーという程度だし。
痛みもそんなになかったから大丈夫だろう。


しっかり着替えも終えて、保健室に向かうと先生が青ざめて私を近所の接骨院まで連れてった。
なんだかよく分からないけど大変な事態のようだ。
やっぱ曲がんないからやばいんだ。
え、もーすぐバドの試合なのに。
え、やべー。


「片瀬さんさー…指曲がんないって分かった時点で保健室来ようねー…。」
「あー…はい。」
「これ明らかに外れてるし…骨。違う方向向いてるじゃない。」
「よーく見れば…」
「よーく見なくてもあっち向いてるでしょう小指。」

そう…確かに小指があっち向いてる。
向いちゃいけない方向に。
利き手じゃなくてよかったー。

「ね、先生、これ治すの痛いですか?」
「痛いよ。」
「注射します?」
「注射?注射関係ないよ(笑)」


「…(笑)」

ん?
なんか先生の笑い声とは他に誰かが笑ったような…。

振り返ると同じ制服を着た綺麗な顔した男がこちらを見てクスクス笑っていた。
同じ色のバッヂしてるから同学年だ。

感じ悪い。
ちょっと睫毛長いからってなんなの。

「こーら、藤真くん、笑うんじゃないの。」
「すみません…だって、注射…(笑)」


ああこの先生もこの藤真という生徒も酷い。
マジ怖いのに。
あ、呼ばれたし。

「片瀬、注射はないから安心しな。」

と先生に言われたもののちょっとまだ笑ってるから口を尖らせたまま診察室に入った。
なんなのなんなの。

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ