Short story

□気持ち
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賑やかにやって来た菊丸に気付き、雪は勢い良く目を向けた。




『菊丸先輩、おはようございます』



菊「おっはよーあれ?誰?」




首を傾げて雪を見つめる。




雪「はじめまして、九条雪です。今日は、マネージャーの手伝いと見学をさせてもらいに来ました」



菊「へーよろしくね!俺、菊丸英二!」




ニッと笑いブンブン音が鳴りそうな位大きく握手をし、部室にかけて行った。




雪「明るい人…」



『うん。すっごく明るいよ。猫みたいで可愛いし』




この時、ハッと気付いた。

1番重要なことを忘れていた。




雪「ねぇ、りんのお兄さんは?」




あんなに毎日お兄ちゃんお兄ちゃん言ってるりんなのだ。
どんな人なのか、当然気になる。




『お兄ちゃんなら、今日は少し遅くなるって』



雪「なんだ、そうなんだ」




残念、と肩を落としていると、着々とレギュラー達がやって来た。


中でも、手塚を見た雪が勢い良くノートに何かを書いていた姿は、あのデータマンの乾さえ度肝を抜かれた。










雪「次は何やるの?」



『ドリンクを作るんだよ』




「へぇー」と興味深々に作り方を見つめる雪は、再びはたと気付く。




雪「白石さんは?まだ来ないの?」



『そういえば遅いね…』




言われてみれば、とりんは心配になってきた。



『あ、雪ちゃん。タオル持ってくれる?』



雪「はいはい任せなさい!」




大量のドリンクはりんが、同じく大量のタオルは雪が持ち、2人はコートに向かった。




『雪ちゃん、なんかごめんね…』



雪「いーっていーって」




雪が振り返ろうとした時、石に足をぶつけてしまいバランスを崩す。




雪「うわ…!(転ぶ!)」




思わずギュっと目を閉じたが、衝撃は襲って来なかった。
変わりに背中に回された腕の感触がして、不思議に思い目を開けると…




「大丈夫か?」




突然のドアップ。しかも、かなりの美男子。


暫くポカンとしていると、『雪ちゃん大丈夫?』とりんが慌てて近付いてきて、ハッと気付いた。




雪「あり、ありがとうございます!」



「気ぃ付けよ」




その容姿を雪がまじまじと見つめていると、後ろからも人が歩いて来た。




「おはよう。何だか今日は賑やかだね」



『不二先輩、おはようございます』



雪「え?…ってことは、
(もう1人の人が不二先輩なら、この人が…)」



『あ、雪ちゃん。この人が、白石さんだよ』



雪「…………」



『雪ちゃん?』




笑顔で話すりんを見てから、もう一度本人を見る。




白「?」



雪「(想像以上だ…!)」




今までのノート記入に、1番力が入ったのであった。
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