Short story

□初恋
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「枯れたんは、しょうがないなぁ」



『どして…?』




あれから二人並んで草の上に座り、女の子は俺を見て首を傾げる。




「そういうもんなんや。植物だけじゃなく、動物もな。せやから、今までありがとうって感謝せなアカン」




俺が真っ直ぐ見つめそう言うたら、女の子はコクンと小さく頷いた。


…素直やなぁ。
友香里にも習わさせたいわ。




『…お花さん、今までありがとう!!』




目をギュッと瞑るその子を見ていたら、何故だか急に頭を撫でたくなった。

何でかわからんけど、そう思った時には…既に自らの手で小さな頭を撫でていた。




「うん、いい子や」




友香里に同じことをすると、「子供やない!」ゆうて嫌がるんやけど…


女の子はちょっと驚いた表情を見せたが、暫くしてふわりと笑った。




ドクン




その時、鼓動が大きく波打つのを感じた。




(な、何やコレ…)




ドキドキとうるさい。


初めての現象に戸惑い固まってしまった俺を見上げて、『どうしたの?』と女の子は不思議そうに尋ねて来る。

すっと手を元に戻して、慌てて前へ向き直った。




『あ、りんね、りんってゆうの!』




そんな俺を気にする様子もなく、女の子は明るく挨拶する。


ちゅーか、今二回言うたな…




「りんちゃんか。いくつ?」




見た目からして、友香里と同じ位やろか。
背は小さいけどな。




『4歳!にいちゃは?』



「6歳。2つ違いか、俺の妹と同じやな」




もしかして、にいちゃって…お兄ちゃんやろか。

そんなん言われたの初めてやなと感動しとると、りんちゃんはニパッと笑う。




『にいちゃ、妹いるの?
りんはね、りょまにいちゃの妹なんだぁ』



「りょまにいちゃ?」




何やすごい名前やな。


りんちゃんがあまりにもニコニコと嬉しそうに話すもんやから、その人物に興味を持ち始めた。




『りょまにいちゃはね、優しくてかっこ良くて、りんのヒーローなの!』



真ん丸な瞳を輝かせて話すりんちゃんを横目で見る。




「お兄さんのこと、好きなんやな」



『うん、大好き!!』




その表情を見れば、本当に大好きなんやなと思うた。


少しだけ…その゙りょまにいちゃ゙が羨ましいと感じたのは、気のせいやろ。
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