Short story

□初恋
3ページ/6ページ




俺が公園に着いた時、既に友香里は知らない女の子達のグループに紛れて遊んどった。


…我が妹ながら、ホンマに尊敬するわ。




このままぼーとしとるのも何だかなぁと思い、公園を探索することにした。


公園は以外に広く、遊具がぎょーさん置いてある。
ふと、辺りに広がる草に違和感を感じた。




「…?」




好奇心から草を退けてみると…




「…うわ、」




そこは、さっきの公園と繋がってるとは思えないほどの場所やった。


大きいとは言えないがキラキラ輝く湖。
周りには青々とした草や、色とりどりの花が生えとる。



驚きながらも感動していると、どこからか女の子の声が聞こえた。




(泣いとる…?)




キョロキョロと首を動かせば、大きな木の下でしゃがみ込んでいる女の子が視界に映る。

放っておけなくて、気付いたら近づいとった。




「どないしたん?」




顔を上げたその子の目は、赤く染まっている。




『…お、お花、枯れちゃったの…っ』



「お花?」




女の子の手には、しおれた一本の白い花。




『にいちゃに、貰ったのに…』




そう言って再び泣き出す女の子。


こういう時は…


俺はポケットに手を入れ、飴玉を取り出した。




「これ、あげる」




手のひらの飴玉を見て、その子はキョトンと目を丸くした。

俺の顔を不安そうに見つめて、それからゆっくり小さな手のひらで掴んだ。
飴玉を口に運んだ瞬間、女の子の表情が歪む。


これ、木苺味から苺味に変わるやつやねん。




『…おいしい』




暫く舐めていたら甘い苺味になったらしい。
女の子は目を丸くして驚いている。


何か言いたげに見上げて来るその子に、俺はニッコリと微笑み返した。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ