pure love

□誓い
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チュンチュンと朝を知らせる雀の声。窓から薄らと差し込む陽の眩しさに、りんはゆっくり目を開けた。


まだ目覚ましをセットした時間より30分だけ早くて、もう少しだけとそのまま布団に入る。




……まだ頭がぼんやりしてて、良くわからない。



昨日あった出来事がすべて夢だったんじゃないかって、そんな気持ちだった。





























白「え、じゃあ…大阪合宿からずっと?」




白石が本当に驚いた顔をすれば、りんは顔を赤くしながらコクンと頷いた。



二人河原に座って話しているうちに、当の昔から両想いだったことが判明。




白「(…アカン。気付かへんかった)」




良く思い出してみれば、確かにそんな感じはしていた。


だが相手はりん。
白石は嫌われてない自信はあったが、まさか恋愛対象として自分を見てくれてるなんて想像もしていなかった。



実の兄にまで頬を染めたりするので、性格なんだと思い込んでいた。




『電話で、何回も言おう言おうって思ってたんですけど…』




『どうしても言えなくて』と真っ赤になって俯く姿を、白石はどこか目を細めて見つめる。




長い長い片想いだった。



今までも一方的な想いだったのだから、この際一生待とうと思っていた。




けれどりんに会ってからは、変わっていった。



いつも笑っていて欲しい。
兄にするように、泣いたり甘えたりして欲しい。


…願わくば、自分だけに。



いつからか、自分勝手にそんなことを思うようになっていた。


女々しいと思われたくなくて、隠してきたけど…
本当は、会いたくて仕方がなかった。







白石はふと腕を伸ばし、存在を確かめるようにりんの頬にそっと触れる。


体をびくっと浮かせ、前を見ると目が合った。




『あの…//』



白「………」




更に真っ赤になるりん。


何も言わず、ただ静かに自分を見つめる白石を不思議に思うと同時に、鼓動が忙しなく鳴り出す。


見つめ合うこと数秒。
正常な思考が出来なくなったりんは、




『わ、私!新幹線の時間なので…っ』




少し大げさにアピールし、すくっと立ち上がった。




白「…そうなん?」



『はい!チケット取ったので行かなくちゃ』




しゅんと寂しそうに微かに眉を下げた白石。
りんはチクリと胸が痛んだ。


送ってくと言われ二人並んで歩き出したが、りんは気恥ずかしさから少し距離をおいて歩く。

次第に一歩後ろになり、はたと気付いた。




『(…手、寒そう)』




マフラーじゃなく手袋でも良かったなぁと、りんは白石の手を見つめて思った。


ミトンをしてる自分の手元に視線を移し…そうだと思いつくと少し小走りで近付き、白石の片手をそっと包むように握った。


白石は驚いてりんを見る。




『手、寒そうだから…この手袋すごく温かいんです』




はたから見たら手を繋いでいるように感じる。

だが、りん自身は少しでも役に立ちたいと言う理由だった為、この時だけは恥ずかしくなかった。




白「…ほんまにりんちゃんって……」



『?』




白石はハァと溜め息を吐き、ニッコリ微笑むりんから顔を逸らす。


何か悩んでいるような耐えているような感じがして、迷惑だったかなと不安になってきた。



りんが手を離そうとした時、ギュッと握る力が強くなった。




白「また連絡してな。いつでも待っとるから」



『…はい!』




優しく微笑んだ白石に、大きく鼓動が鳴ったことを良く覚えている。




駅までの道がとても近く感じて、


出来れば、ずっとこうしていたいって…りんは強く思った。



隣を歩く白石も同じ気持ちだったらいいなと、そっと気付かれぬように見上げた。




























『(…私、結構すごいこと言っちゃったよね…)』




マフラーを掛けてあげたり手を繋いだりした行為はスルーして、(←無自覚)告白してしまったことが今になって恥ずかしく思えてきた。




『(…どうなるんだろう)』




お互い想いを伝え合って、その先は…?


りんは頭の中で未知の世界を想像するが、限界だった。



そうだ!とある人物が頭に浮かび、勢い良く布団を捲り立ち上がった。
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