pure love

□初日の出
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*りんside*



今年も終わりの、大晦日の日。
私と菜々子さんは早起きして台所を忙しなく動いていた。




『菜々子さん、味付けどうですか?』



菜「そうね…うん、美味しい」




年越し蕎麦を茹でながら、明日のお節も作る同時進行。

普段と違った料理だから張り切ってしまう。



午後から親戚が来るので、多めに作っておいた。




菜「ああ、そうだりんちゃん。リョーマさんからは連絡あったの?」




ふと黒豆を煮ながら問い掛けてきた菜々子さん。


私はコクンと頷いた。




『だけど、携帯にはまだなくて…』




実は、イヴの日の誕生日に、お母さんとお父さんから携帯電話を貰った。


もちろん海外対応してるけど、お兄ちゃんがしてなきゃ意味ないし…

ハガキに番号は書いて送ったから、お兄ちゃんが寮から電話してくれるのを待つしかない。




菜「でも良かったわね。
これで連絡しやすくなったし」



『うん!菜々子さんとも電話とか出来ますね。メールはまだ勉強中だけど、』




「違くて」と微笑む菜々子さん。


首を傾げる私にそっと囁き、その名前を聞いた瞬間顔が一気に赤く染まっていった。




菜「番号とか教えたの?」



『ね、年賀状に一応書いたんですけど…///』




実は、白石さんの番号はもう登録済みだったりする。


けど…受験勉強の邪魔だとか迷惑かなとか思ってしまって、まだ連絡出来ないでいた。




(…情けないな、)




自分の奥手さに心底嫌気が差す。
しゅんと落ち込みそうになった時、ピンポーンと玄関のベルが鳴った。




倫「はーい、」




出迎えに行くお母さんの後に慌てて着いて行くと、顔を覗かせたのは…












「久しぶりねー倫子」



倫「涼子姉さん!」




涼子(スズコ)叔母さんはお母さんのお姉さん…つまりは私の叔母さんです。


とても綺麗な人で、地元では華道の先生をしてる。




倫「あらー旬典さんも久しぶり」



旬「久しぶり、倫子ちゃんも元気そうで」




旬典(シュンスケ)叔父さんは涼子叔母さんの旦那さん…つまり私の叔父さんです。

洋服のデザインの仕事をしていて、お洒落でかっこいい人。


今も着物を着ていて、二人並ぶと本当に絵になる。




南「おー来たか!」




(今起きて来た)お父さんが笑顔で二人を迎える。

昔から叔父さんと仲の良いお父さんは、肩を組んで楽しそうに笑っていた。



賑やかな雰囲気から一人取り残されていると、お母さんに名前を呼ばれた。




『あ、お久しぶりです…』



涼「…りんちゃん?うわー大きくなって、」



旬「相変わらず可愛いなーとても君の子供だとは思えない」



南「何だと!?」



倫「あ、そう言えば今日碧くんは?」




お母さんが尋ねると、叔父さんの後ろから遠慮がちに顔を覗かせる一人の男の子。




『碧くん!』




以前碧(アオ)くんに会ったのは、私が9歳で碧くんが3歳の時だから…4年ぶりくらいかな?


覚えてるかな?と不安に思い近付いて行くと、




碧「…!!りんー!」




ピョンと家に上がり、碧くんは勢い良く私の膝に抱き付いて来た。


顔を上げて、ニパッと無邪気な笑顔を向ける。




髪は金色に近い茶髪で、猫毛なのかふわふわしてて、
大きな瞳は金色で、くりくりの真ん丸な目。


色も真っ白で、女の子みたいな可愛さを持つ碧くん。




碧「りん、敵は何処だ!俺の剣で今すぐ成敗してやるっ」



『え、敵…?』




碧くんは背中に背負っていた自分より大きな鞘から剣(玩具?)を抜き、私の前に仁王立ちし辺りを見渡す。




涼「こら碧!りんちゃんが困ってるでしょ?」



『??』




突然のことに頭にたくさん?マークを浮かべていると、何かを思いついたのかニッと笑うお父さん。




南「貴様が碧か。かかって来るが良い!」



碧「何ぃやはり貴様が敵か、りんは渡さん!覚悟しろ!!」




てっきり真っ直ぐ斬られると思ったのに、碧くんはお父さんのお腹目がけて突っ込んだ。



数分後、お父さんが腹部に軽症を負ったのはゆうまでもない。
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