pure love

□贈り物
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24日、クリスマスイブ。



りんはプレゼントするマフラーのラッピングを買いに、出掛けていた。


クリスマス一色の街を通り抜け、気分が高鳴りつつ自宅の門を開ける。




『(私、ラッピング何か買ってどうするんだろ…)』




リョーマには既に送っているが、もう一人には渡せる自身もないのについ調子に乗ってしまったと、小さく肩を落とした。



部屋のドアを開けた時、視界に飛び込んできた光景に持っていた袋を落としてしまった。




『カ、カカカルピン!?』




カルピンはりんのベッドに乗り、深緑色のマフラーを解き自身もその糸に絡まっていた。


立ち尽くすりんを見て助けてと言うように「ほぁら」と鳴く。



りんが慌てて解いてやると、カルピンは逃げ出すように走り去ってしまった。




『…………』




りんは暫くポカンとして、呆然と解けたマフラーを手に取った。




『…どうせ渡せなかったもんね、』




ぽつりと呟き、ぐちゃぐちゃになったマフラーをゴミ箱に持って行った時、ふいに玄関のベルが鳴った。



りんが出て行くと…




雪「りんー誕生日おめでとう!!」



『雪ちゃん!』




ドアを開けるなり、ガバッと抱き付いてきた雪。

りんは『ありがとう』と口元を緩め微笑んだ。




『ちょっと待ってて、コート取ってくるね』




背中を向けようとするが、何故か引き留められた。
首を傾げるりんに雪はニッコリと意味深な笑顔を向ける。




雪「りん、ごめんね」




え?と聞き返すより早く、いつからそこにあったのか家の前の黒い車から二人の男が出て来た。


二人ともスーツを着てサングラスを掛けていて、りんが驚いている隙に両腕を掴まれる。




『ふぇ!?あの、』



「すみません。御命令ですので」




頭がついていけないりんだが、有無を言わさず車の中に連行される。


車は見覚えがあり、何だっけと必死で思い出している内に急ぐように走りだした。


























『あの、これは一体…?』




りんの周りを女性がぐるりと囲み、現在爪にマニキュアを丁寧に塗られていた。


それの前は(強制的に)シャワーを浴びて、マッサージや顔にパックもされた。



それにここは、




『(ここって跡部さんの家だよね?)』




以前一度だけ訪れたことのあるりんは、すぐに思い出した。
だけど、今自分がされている状況については良く理解出来ない。



爪には小さな花のビーズが付けられ、素直に可愛いと思っていると、ドタドタと前から足音が近付いて来た。




朋「りんちゃん誕生日おめでとう!!」



桜「おめでとう」



『朋ちゃん、桜乃ちゃん!』




何で二人が?とまた首を傾げると、続いて入って来たのは、




『ミ、ミカエルさん?』



「お久しぶりです、りん様」




跡部宅の執事、ミカエルだった。


ミカエルは混乱するりんの元へとゆっくり近付く。




「簡単にご説明致しますと…ここ跡部宅で、今宵りん様の誕生日パーティーをお開きするご予定なのです」



『…………え!』




りんは一瞬キョトンと目を丸くしたが、内容を理解するなり驚いた。




朋「本当は青学の先輩達だけでやろうと思ってたんだけど、」



桜「この前跡部さんに会って、氷帝の皆もりんちゃんのお祝いしようと思ってたみたいで…」



朋「それなら一緒にやりましょうってなって、で、跡部さんの家でやることになったってこと!」




りんは『そうなんだ…』とやっと納得すると同時に、疑問も浮かんだ。




『それで、跡部さんと雪ちゃんは?』




恐らく雪は、始めからりんをここに連れて行くつもりだったのだろう。




「景吾坊っちゃんは会場の準備に行っております。九条様(雪)はりん様のお召し物を選びに、」




ミカエルが言い終える前に扉が勢い良く開かれ、両手いっぱいに装飾品を持った雪が姿を見せた。


りんは何かを悟り背中に冷や汗が流れる。




朋「雪ちゃんお疲れ様!良いのあった?」



雪「うん!これ何てどう?」



桜「うわぁ…可愛い」




いつの間にか仲良くなっている三人を見つめ、すっかり取り残されているりん。


三人が同時に振り向くと、思わずびくっと体が揺れた。




『あの…えと、』



雪「…りん、ちょっとおとなしくしててね」



『ふぇ!?』




ぬっと三人の手が伸びてきて、最早逃げ場のないりんだった。
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