pure love

□招待U
3ページ/6ページ




休憩時間になったりんは皆を校舎に案内し、可愛らしい造りの喫茶店に入ることになった。




菊&岳「「うわ〜」」




運ばれて来た苺パフェを見て目を輝かせる菊丸と岳人。




桃「ん?りんのも旨そうだな!」



『チョコレートパフェですよ』




桃城はバナナパフェを頬張りながら、りんの注文したパフェを見て物欲しそうな顔をする。




『一口食べますか?』



桃「いーのか!?」



『はい!』




りんはニッコリ笑うと、手に持っていたスプーンで一番美味しそうなところをすくい差し出した。

その行動があまりにも自然だったので、桃城は暫くしてから顔を赤く染めた。




桃「!え、いや、一人で食えるからさ…っ」



『?』




赤くなる桃城に首を傾げるりん。




海「はっ…デレデレしてんじゃねぇ」



桃「な!?してねーよ!」




ケンカが始まりそうだったので、りんは慌てて止めに入る。



そんな光景を隣のテーブルから見ていた不二は、「良かった」と独り言のように呟いた。

悠々とコーヒーを飲んでいた跡部の耳に入り、首を傾げながら不二を見る。




跡「何がだ?」



不「いや、りんちゃん…元気になったみたいでさ、」




跡部も隣のテーブルで楽しそうに笑うりんに視線を移した。


リョーマがアメリカへ旅立ってから、どことなく元気のないりんを皆心配していたのだった。

実を言うと、跡部が今日ここに来た大半の理由はそれで、りんの笑った顔を見れて誰よりも安心していた。




跡「…ああ、そうだな」




強く頷いた。

その時…




「あ、りんいた!」



『ふぇ?』




突然名前を呼ばれ口にパフェを含みながら振り返れば、同じクラスの子がパタパタと近寄って来た。




「あのね、私これからどうしても家族を案内しなくちゃいけなくて…
ビラ配り変わってくれないかな?」




大量のチラシを持って申し訳なさそうに頭を下げられる。


もちろんりんが断わる訳がなく、コクンと頷いた。




『いいよ、任せて』



「ありがと〜りん!」




手をギュッと握って嬉しそうに笑い、チラシを渡すとその子は忙しそうに駈けていってしまった。




『あの、ごめんなさい…』




皆の方へと振り返り頭を下げる。


りんの性格は知ってるので、皆顔を見合わせ小さく笑った。




菊「じゃ、それ終わったら一緒に回ろーね!」



岳「早く終わらせろよ?」



『はい…!』




笑顔で頷くとりんは立ち上がった。


出ていくのではなく、隣のテーブルの前に立ち同じように頭を下げた。




忍「一人で大丈夫なん?」



不「僕達も手伝おうか」



『ありがとうございます、大丈夫です!皆さんは文化祭楽しんで下さい』




だが跡部だけは何も言わず、りんが怒ってるのではと不安になってきた時、




跡「…ジローが起きたらうるせぇからな。早く行け」




まだスヤスヤと眠っているジローを見て、素っ気なく言い捨てる。


『ありがとうございます!』と笑顔で言うと、りんはその場から去って行った。


























『一年D組、プラネタリウムやってまーす!』




正門の前、りんは行き交う人々にチラシを配っていた。

恥ずかしいと思っていたこの服装も、時間が経つに連れて慣れてきた。




「すいませーん、チラシ下さーい」



『はい、どうぞ!』




背後から声を掛けられたので振り返ると、そこには背の高い男が二人立っていた。

りんを囲むようにして顔をじっと見つめられる。




『あの?』



「聖女の女子ってレベル高いって聞いてたけど、想像以上じゃん」



「俺達とこれから一緒に回らない?」



『えと、これ配らなきゃいけないので…』




小さく頭を下げて背を向けようとするが、腕を掴まれ引き止められてしまった。




『(こ、こういう時って…)』




りんはあることを思い出し、くるっと振り向き男達と視線を合わせた。




















一方、正門に向かって歩いている男が一人。




跡「………」




跡部は皆と別れ、人混みの中りんの姿を探していた。


小柄な彼女は見付けずらく、顔を動かす度歓声の声を上げる女子を気にも止めないで早足で歩く。



それらしき後ろ姿が視界に映った時、同時に二人の男に気付いた。




跡「(…何やってんだよ)」




眉を寄せながら跡部が近寄って行くと、











『…お、俺男なんです。この格好は趣味で着てるんです…』




何処から出してんだと不思議に思うくらい低い声を発したのは…紛れもなくりんだった。


男は掴んでいた手を静かに離し、「ごめん何でもない!」と言い捨て慌てて去って行った。




『た、助かった…?かな』




一気に緊張が解けりんはフゥと息を吐く。

くるりと後ろを向くと、目を丸くしてこちらを見ている跡部と視線がぶつかった。




『…っ跡部さん!』



跡「…………」




まさかいるとは思わなかったので、もしかして聞かれたかなと羞恥心から顔が赤く染まっていく。


そっと伺うように前を見ると、既に跡部は口元に手を置いていて、




跡「…ふ、」




遠慮なく思いっきり笑われたのだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ