pure love

□晴天
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*リョーマside*



(何だ、これ…)




打球を打った感触がない。


俺はちゃんと打ち返せてるのか…?




「……っ」




突然視界が真っ暗になる。




(…来る!?)




いつボールが飛んでくるかわからない。
けれど、感触がなくても見えなくても…身体に動きは染み付いてる。

音さえ聞こえれば…







幸「ボウヤの負けだよ」




な、に…?



まったく、聞こえない。




(…サーブ打たなくちゃ)




ボールを高く上げるが、視界から消えてしまう。





このままじゃ、
負ける。




負けたくない。




何で、こんな苦しいこと…テニスって、こんなに辛かったっけ?









゙…ちゃん、゙




この声…







゙お兄ちゃん!"





…りん?


微かに聞こえた声。




そうだ、



いつもいつも…勇気をくれる。



テニスを嫌いになれるわけがない。だって俺は、








「…テニスって楽しいじゃん」




その時、身体が急に熱くなった。
力が一気に溢れてくる。




「天衣無縫の極み!?」




サーブを打つけど、審判のコールがない。
モニターで見て入ってることを確認した。





「サムライドライブ!」




ボールが2つに割れ、相手コートに打ち込む。




幸「我が立海の3連覇に…

死角はない!」




打ち返された打球。
しかし、




(1点を見極めろ!)










「ゲームセット!ウォンバイ…越前リョーマ 6−4!」




気付いた時には試合が終わっていて、一息吐く暇もなく先輩達に胴上げされていた。




「ちょ…っ」



菊「イッエ〜イおチビー!ブラボーブラボーブラビアス!!」



桃「やりやがったなーこの野郎ぉ!!」




そんな先輩達に呆れつつ、試合に勝利した喜びを噛みしめた。





『………』




ずっと俯いているりんを不思議に思い近付く。




「…りん、」




頭にそっと手を置くと、ゆっくり顔を上げた。
目には涙が溜まっていて、今にも溢れ出しそうだ。

りんの泣き顔を見るのは、今日で何回目になるんだろう…




『…お兄ちゃん』




『おめでとう』と満面の笑顔で微笑んだ。

本当にいつもいつも、この笑顔に、存在に…どれだけ救われてきたか。





「りんがいたから」




君がいたから、勝てた。
ここまでこれた。




「ありがとう」




感謝の気持ちを込めて、優しく抱き締める。




『……うん』




小さく呟いた声は、確かに届いた。
















短くて長い全国大会は、青春学園の優勝という証を残し、幕を閉じた。
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