beloved

□偽りの恋人
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―りん、





お兄ちゃん…?





リョ「りん、白石さんが来たよ」



『……え、え!』




何でいきなり?嬉しいけど、心の準備が…っ




白「りんちゃん」



『ごめんなさいあの、私まだパジャマでして!えと、』



白「…跡部と付き合うてるってほんま?」




ほ、ぇ…?




『えっと…何処に?』



白「跡部の女になったって聞いたけど」



『!!』




そ、それは丁重にお断りしたはずで…
しかも何で白石さんが知って…?




白「…俺に隠してたんやな」



『!違いますっ跡部さん何か間違って…それに、跡部さんが私みたいな子好きになるはずがないとゆうか…っ』



白「りんちゃんは鈍すぎる。もううんざりや」



『白石さ…』




っ待って…!




リョ「りんがそんな女だと思わなかった」




お、お兄ちゃんまで!?




違うの、



違う、





ちが……










『違うんですぅー!!』



リョ「何が?」




ガバッと勢い良く身を起こし辺りを見渡すと、お兄ちゃんが呆れたように溜め息を吐いた。




『(ゆ、夢…?)』




お兄ちゃんの腕から抜け出したカルピンが私にすり寄ってきて、こっちが現実なんだって思えた。



す、凄い夢だったな…

バクバクする胸を押さえていると、そんな私にお兄ちゃんは眉を寄せていた。




リョ「…大丈夫?顔色悪いけど」



『だだ大丈夫だよ!』




慌てて首を振る私の額に、ぴたとお兄ちゃんの掌が添えられる。
熱がないとわかると、その掌は私の頭に置かれた。


ぽんぽんと優しく撫でられて、少し驚きつつも頬が自然と緩んでしまう。


私を落ち着かせるためなんだとわかったら、余計に嬉しくなった。




リョ「もう朝食だから。用意出来たら来て」



『あ、ごめんねっ作れなくて』




「いいよ」とお兄ちゃんは背中を向けて出ていった。




昨日、跡部さんから言われた言葉が頭から離れなくて…



目を瞑ってもどうしても眠れなくて、朝方まで起きてたせいで寝坊してしまった。




『(今日が日曜で良かった…)』




ううん、部活が休みで良かった。
お兄ちゃんもだけど、先輩達は私の様子が可笑しいことにすぐ気付いてしまうから。(何でかな?)



余計な心配かけたくないもんね。





自然と溜め息を溢してベットから起き上がった時、机の上の携帯電話が鳴った。


慌てて手に取り、名前を見ても知らない番号で。
?と首を捻りながらボタンを押す。




『?もしもし』



《あ、りんちゃん?》




えっと…




『鳳さん…?』



《うん。おはよう》




反射的におはようございますと口から零れてしまったけれど、暫くして何で鳳さんが?と疑問に思った。




《急に電話しちゃってごめんね。えっと…突然何だけど、》



『は、はいっ』



《今から、跡部さんの家に来てくれないかな?》




……………




頭の中が整理出来ず何も言えないでいると、鳳さんの焦った声が聞こえた。




《跡部さんが話したいそうなんだ。りんちゃんが誤解してるからって》



『跡部さんが?』




やっぱりあの言葉は私の勘違いだったんだ…
そりゃそうだよね、と心の中で自己解決して大きく頷く。




《大丈夫だよ、俺や先輩達もいるから。それに俺も会いたいし…………え》



『え、』



《あ、いやっ会いたいって皆も言ってるよって言いたかったんだ…!本当に気にしないで俺《何言うてんねん鳳!》



『あ、あの…』



《長太郎!朝っぱらから恥ずかしいこと言ってんじゃねぇぞ《ええっ違いますよ宍戸さん!》



『えと…』



《ていうか何でそもそも鳳が電話してんだよ!?》



《岳人それはなぁ、鳳が1番物腰柔らかに誘えるんやないかと言う企みで…》



『え、えっと…』




電話越しに色んな人の声が聞こえてきて、私はどうしたら…?と戸惑っていると、電話の相手が忍足さんに代わった。




《堪忍なぁりんちゃん。今から来て貰うこと出来ひんやろか?》



『は、はいっ今から行きますね』



《ほんまに?》




私が何か誤解してるなら、ちゃんと聞いてあげなきゃいけないし…勝手に勘違いしてたことも跡部さんに謝らなくちゃ。




《ほんなら、用意出来たら外出て来てや。迎えが行っとると思うから》



『へ?む、迎えですか?』




キョトンと目を丸くしながらも小窓から覗いてみると、家の玄関の前に高級そうな車が停まっていた。


明らかに目立っていて、近所の方達が呆然としているのが目に映る。




『(…は、早く行かなきゃ!)』




このままじゃご近所さんに妙な噂が流れてしまうと、電話を切り慌てて用意をし始めた。
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