beloved

□浪速のバカンス
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青い海、白い砂浜。



カラフルなパラソルが色んな場所に立て掛けられ、水着を来た男女が行き交う。




白石は降り注ぐ夏の日差しに目を細め、額の汗を拭った。




金「白石ーっこれ膨らますの手伝ってやー」




金太郎の声に隣を見ると、一生懸命にイルカの浮き輪を膨らませていた。




白「ほな貸して、金ちゃん」




手招きする白石に、金太郎は素直にそれを渡す。


そんな2人を微笑ましく見つめる銀と小石川。




謙「フランクフルト買うて来たでぇー!」



金「やったー!」



財「遅いっスわスピードスター」




金髪が一段と眩しい謙也が駈けて来るのを見て、対照的な反応を見せる後輩2人。


謙也はムッとしながらも、それを渡してあげた。




紅「あ、おったおった」




その声に皆振り向くと、黒のビキニに身を包んだ紅葉の姿。

いつも鍛えているからか引き締まっている。




謙「おー、遅かったやん」



紅「女子は支度に時間掛かるんや」




そう言って謙也の額にデコピンを咬ます。




白「りんちゃんは?」



紅「もう来るんやない?…ほら、」




紅葉が指差す方を見れば、歩いて来る友香里とりんの姿が。




友「お待たせしました〜!」



『………///』




ビタミンカラーのビキニに身を包んだ友香里は、いつもより大分大人っぽく見える。

小春の見立てが気に入ったのか、満足気に笑っていた。



対するりんは…パーカーを着て恥ずかしそうにしていた。




白「…どないしたん?」




チラチラと白石を見てはあたふたと目を泳がせるりん。


実際その姿は萌え以外の何者でもないのだが、白石は冷静に尋ねた。




友「いつまでもこんな暑いの着てへんで!
脱いだ脱いだ〜」



『!!』




友香里にバンザイをさせられ、りんはパーカーを剥ぎ取られてしまった。



慌てて体を隠すように両手で覆うが……




白「………………………………………………………」



金「わ、白石ぃ!浮き輪しぼんどる!!」




先程まで膨らませていたイルカの浮き輪は、シュゥゥと音を立てて空気が抜けてゆく。



財前と謙也は食べかけのフランクフルトを、ボトッと砂浜に落とした。


小石川も一点だけを見つめていて、その様を銀が横目で悟る。




りんの着ている水着は、上はビキニ、下はスカートタイプで。
胸元のたくさんのレースと、小さなリボンがポイントになっている。


白を基調としているが、水色のラインが爽やかなデザインだ。




『(や、やっぱり変なのかな……っ)』




ぴくりとも誰も動かないので、不安でしょうがない。



目の前の白石をそっと見上げると、彼にしては珍しい程ぼおっとしていて。


暫くしてその口が僅かに動いた時、




小「もーりんちゃんかわええでしょぉ」




ルンルン気分の小春が、続いてやって来た。


隣にいるユウジは周りを見渡し首を傾げる。




金「おん!真っ白や!(←肌が)」



謙「そやな…に、似合うてるよ」



財「…謙也さん顔真っ赤」



謙「…っうっさいわ!!」




赤くなって吠える謙也を軽くあしらう財前。



りんはその言葉にほっとしながらも、先程のことが気になっていた。




『(白石さん…何て言おうとしてたの?)』




戻って行く白石の背中を、静かに見つめた。



























小「ペア決め始めましょ〜」



友&金「「いえ〜い!」」




フフフと笑い、楽しそうに割り箸を見せる小春。




『ペア決め?』



小「2人1組になって、時間が来たらまた変えるのよ」



白「…何なんそれ」




微かにムッと眉を寄せる白石。

小春はそんな彼に目をやり、少し困ったように笑った。




小「決めないとずっとその相手とおるやないの(特に蔵リンは…)」



友「ええやんくーちゃん。楽しそうやで?な、りんちゃん!」



『え!』




くるっとりんへと顔の向きを変えて、同意を求める友香里。


りんは意気なり話を振られた為、びくっと体を浮かした。




『そ、そうだねっ』



白「…………」




その返答に満足したかのように、友香里に再度見つめられる。

「わかったって」と白石が肩を落として言えば、友香里の顔は輝いた。




謙「翔太!」




急にシャキーンと体を硬くさせる友香里。



手招きする謙也を見てからりんも後ろを向けば、同い年くらいの男の子がこちらに歩いて来ていた。




謙「遅かったやん。迷子にならへんかったか?」



翔「兄ちゃん心配し過ぎ。そんな子供やないんやし」



『(…もしかして)』




兄ちゃんと言う言葉に、まさか…と思い始めるりん。




白「翔太くんは、謙也の弟なんやで」




ぐるぐる渦巻く疑問が、白石の一言で一気に解決した。



確かに、顔形が謙也にそっくりで、ハタから見たらすぐに兄弟だと察しがつく。



りんは思わずじっと見つめていると、ふと翔太と目が合った。
だけど、その視線の先はりんではなく……




翔「…友香里?」




彼は少しだけ目を丸くさせ、一歩近付いた。



その時の友香里の表情を見て、りんは首を傾げた。
あんなに見返したいと言っていた相手だろうに、その頬は赤く染まっていたのだ。




友「…どうや翔太!うちの水着姿は!!」



翔「…………」




バーンと効果音が聞こえて来そうな程、胸を張る友香里。




翔「パットだろ」



友「んな"!!」




フッと鼻で笑う翔太に、友香里の顔は怒りで真っ赤に染まった。


何処からかゴングが鳴り響いた時、




謙「はいはい」



白「そこまでにしとこな」




まるで猫を持つように、2人の襟首がぐいっと引っ張られる。
が、まだお互いに威嚇したままで。




紅「ちゃっちゃとペア決めようや……あ、翔太くんも引いてな」



翔「はーい…」




「いいお返事で」と紅葉に頭を撫でられる翔太。


仲良いんだなぁと思うりんの隣では、友香里が小さく溜め息を零していた。
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