beloved

□海外合宿
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不「りんちゃんならここにはいないよ」



白「ほんまに?」




青学の席にやって来た白石は、予想外の事実を告げられた。




リョ「りん、そっち行ってないんスか?」



白「まだ会ってへん…」




リョーマも予想外のことだったのか、驚いた顔を見せた。



つい最近まで、電話やメールで連絡を取り合っていたのに。
りんも、自分に会えることを楽しみにしていると思い込んでいた。



おおきにと礼を言い、白石は他の席も歩いて見ることにした。










その5分後。





白「…………」



丸「おおっ゙株で儲けた。10ドルゲッドだってよ!」



赤「先輩に追い付かれそう…!」



岳「よっしゃ、次俺の番〜」




一際大きな声が聞こえたので、首を傾げながら近寄れば…何故か人生ゲームで盛り上がる面々がいた。



おまけにその中には、




芥「あ、りんちゃんまた子供増えたC!もう車に乗らないよ」



『本当だ、どうしよ…』




久しぶりに見るりんの姿が。


会えて嬉しい気持ちもあるが、先程の言葉が引っ掛かった。




白「(子供って…何やねん)」




いやいや、ゲームやから!とこの場にいない親友二人にツッコまれた気がした。



思わず強く拳を握りその光景を見つめていると、ふとりんが振り向いた。

白石と目が合った瞬間、それは見開かれる。




『…白石さん…?』




白石の黒いオーラに気付かないりんは、キョトンと目を丸くさせる。




『…白石さんも、一緒にやりませんか?』




少し考えた後、ふんわりと柔らかく微笑むりん。



その笑顔で、今までの怒気も全て吹っ飛んだ。


自分に構ってくれないから拗ねていたことが、とても恥ずかしく思えた。




白「(…適わんな)」




今すぐに、ギュッと強く抱きしめたい。
が、何とか耐える。



一人何かと格闘している白石に、りんが首を傾げながら近寄ろうとした瞬間、機内にアナウンスが流れた。




〈ハワイ行きのお客様、機内はもうすぐ着陸致します。お手元のシートベルトを……〉




跡「ほら、お前ら片付けろ」



芥&岳「「えー!!」」




「えーじゃねぇ!」と跡部に一喝され、皆は渋々と片付け始める。



慌てて片付けようとするりんの腕を掴み、白石は自分の元へと引き寄せた。




『??白石さ、』



白「あんなりんちゃん、着いたら…」




その小さな耳にそっと囁けば、りんはカァァと一気に顔を赤く染めた。




白「約束…な?」



『え、えっと…///』




じっと不安そうに見つめられて、彼女が断わるはずがない。

暫くあわあわと目を泳がせ、やがて白石を見上げてゆっくりと頷いた。



嬉しそうに微笑んだ白石にりんの頬が更に赤くなった時、




跡「……お前らも早く戻れ」




溜め息交じりの呆れた声が、低く響いたのだった。































ヤシの木、白い砂浜、透き通ったコバルトブルーの海……




金「ハワイやー!!」




金太郎がバッと両手を上げた。




柳「マウイ島…ハワイの神話には、4大神の他にも神と人間の間に生まれた「半神」が数多く登場する。その半神の中でも特に人気が高いのが「マウイ」島名にも「赤也ぁぁ何を勝手に取ってる!!」なっているこの半神は「仁王くんっ一人で歩いて下さい!」……」



『へ、へぇ…そうなんですか!』



桑「柳は相変わらず物知りだな…!」




マウイ島を目指し船に乗って移動している最中、柳の説明に耳を傾けるりんとジャッカル。


騒がしい周囲に、柳はハァと息を吐いた。




『…………』



幸「どうしたの?りんちゃん」



『あ、えと…手塚部長とも一緒に来たかったなって』




りんは青く澄んだ海を見つめながら、今ドイツにいる手塚を思い出していた。




幸「…そうだね、俺も手塚と試合したいな」



『幸村さん…』



幸「ふふ、でも本当にりんちゃんって手塚のこと、大好きだよね」




『はい、大好きです!』と笑顔で即答するりん。


ふと幸村は、離れたところで金太郎と一緒に魚を指差す白石に視線を向けた。




幸「……彼とどっちが好き?」



『?……!!』




その視線を追い目を向けると、りんの体が跳ねた。




『ど、どっちって…っ』




少し前、飛行機内で言われたことを思い出してしまい、りんの顔はあっという間に真っ赤になる。



どっちが好きかなんて、比べられないけれど。




『い、一番…は、白石さん……です…』




真っ赤になって小さくなって、りんは消え入りそうな声で呟いた。




幸「……そっか、」




顔を上げると、幸村は何処か寂しそうに微笑んでいた。
りんが何か言う前に、幸村の口元がふっと緩む。


くるっと振り返り、




幸「ねぇ白石。今ね、りんちゃんが君のこと『わぁぁ!ゆ、幸村さん…っ』




突然大声で話そうとする幸村の口を慌てて押さえるりん。




白「何?」



『な、何でもっ何でもないです…!///』




近付いて来る白石にブンブン首を横に振る。


幸村はくすくすと楽しそうで、言わなきゃ良かった…とりんは再び顔を赤くした。
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