beloved

□birthdayデート
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二人が園内へ姿を消した直後、ガサガサと近くの草むらが無造作に動いた。







金「なぁなぁ、遊園地行くんやないん?」



ユ「あの二人が道変えたんやし、しゃーないやん」



小「初デートが植物園なんて…いやん、蔵リンったらロマンチックぅ〜!」



謙「……ちゅーか何してんねん自分ら、

しかもこの服装……」




謙也は三人の後ろから顔を覗かせ、自身の服を見渡し眉を寄せる。


全身黄色のフードを深く被り…ひよこの寝間着?のような服を着せられている。


同じくフードを被った皆も似たような服装をしていて、金太郎は狼、小春はペンギン、ユウジは犬…とそれぞれ妙に似合っている。




小「゙遊園地に来てちょっと浮かれてしまった集団゙がテーマやで」



謙「ちょっとやないけどな!寧ろ目立っとるやん」



千「皆むぞらしかねー」



小「いやん、千歳可愛い〜!」




「浮気かぁ!」とユウジが間に入り、ペンギンと犬は口論し始めた。


溜め息を吐く謙也と、ニコニコとその光景を見守る、猫耳付きフードを被った千歳。




…説明するまでもないが、四天宝寺の皆(紅葉、銀、小石川以外)はりんと白石を尾行していた。



「二人の初デートが見たい」と、主に小春の好奇心が理由だった。


事前に遊園地だと分かっていたので、金太郎は尾行より遊びたくて仕方がない。
ユウジは願わくば小春とデートと、一人企んでいた。



無理矢理連れ出されたのは千歳と謙也と、後は…








財「…帰っていいですか」




面倒くさそうに溜め息を吐く財前光。


全身黒とゴールドのヒョウ柄の服に身を包み、耳にはポイントでもある複数のピアスを付け…
全身から不機嫌オーラが出ている。


黒豹、らしい。




ユ「………」



謙「………」



「((一人だけヤンキー?))」」




ギンッと不機嫌オーラが増した財前に睨まれ、一斉に口を閉じたのだった。






















白「(…何や?今あいつらの声がしたような…)」




空耳か、と白石は首を捻った。

前に向き直ると自然と頬が緩んでしまう。




『白石さん!スイートピーがたくさん咲いてますよっ』




きらきら目を輝かせて、白とピンクの花を見て感動するりん。


園内は春の花が咲き誇っていて、甘い香りが鼻を掠める。



自分より遥かに喜ぶ姿を見て、連れてきて良かったと思った。




白「春は色鮮やかな花が多いなぁ」




すっと自分の隣に立った白石に、りんはドキンと肩を揺らした。




『はい、そうですね///』



白「お、゙プリムラ マラコイデズか」



『わぁ…可愛いー』




丸いピンクの花が可愛らしいが、後々の白石の言葉でその考えは一気に変わった。




白「素手で触るとな、肌の弱い人は被れる恐れがあるんやで」



『ぇえ!そうなんですか?』




こんなに可愛いのに…とりんは思わず後退りする。




白「この花も実は毒があってな…」




と、白石はその後も丁寧に聞かせ始めた。

美しい花にも毒がある、とゆうのに魅力を感じるらしく、その表情は生き生きとしていて。




白「これは…」




途中ハッと気付き、口を閉じる。




白「…堪忍な、つい興奮してもーて」




思った通りりんは目を丸くしていて、引かれてしまっただろうか…と少し不安になった。


だがクスクスと笑い出したので、驚いてりんを見れば、




『ごめんなさい、でも…本当に花が好きなんだなって思って』



白「…毒草やけどな」



『?そんなに好きなことがあるなんて、羨ましいです』




『それに…』と少しだけ俯くりん。


目が合った時には、既にその頬は赤く染まっていた。




『白石さんの好きなことがまた一つわかって…嬉しいです』




ふわりと恥ずかしそうに笑った顔は、ここにあるどの花よりも可愛らしくて。




だから、こういうところが…堪らなく好きなんだ。




白石は腕を伸ばし、りんの長い髪にそっと触れた。




白「…りんちゃん、抱きしめてもええ?」



『!ぇえ!だ、ダメですよ…っ///』




思いっきり否定すれば、しゅんと落ち込んでしまった白石。


その姿に弱いりんは、慌てて別の言葉を探す。




『ひ、人がたくさんいますし、今は……』



白「…二人きりなら構わへんの?」



『〜っ///』




自然と上目遣いをされて、NOと言える女性はいるのだろうか。



コクンと真っ赤になりながら頷くと、白石は嬉しそうに笑った。




『(…白石さんって心臓に悪い……)』




バクバクいう胸を押さえながら、赤くなった頬に両手を添えた。
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