企画

□4万打記念小説
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7月23日は桃城の誕生日。

その日は部活も休みで、夏休みに入ってしまってるためあまり祝って貰えないだろう…

と考えたりんは、(日頃から兄の買い物に付き合ってるためお店には詳しい)杏を連れて誕生日プレゼントを買いにやって来たのだった。





杏「でも、桃城くんの好みとか知ってるの?」



『うん!前に部活の帰りにこのお店の前通って、先輩好きだって言ってたよ』




大好きな先輩のために、一番欲しがってる物をあげたい。

だから、好きなお店のTシャツをプレゼントすることにした。




『んっと…これが一番先輩らしいかな』




一人で決めるのは不安なので、確かめるように杏を見ると、ニッコリ笑って頷いてくれた。


りんはぱあっと笑うと、『これ下さい!』と近くにいた店員に言い綺麗にラッピングして貰った。




『杏ちゃん、選んでくれてありがとう』



杏「どう致しまして」




お店を出てから、ラッピングされたそれを見て嬉しそうに目を輝かせるりん。


見ているこっちまで嬉しくなってきそうだった。




『うわぁー可愛い…』




急に足を止めたりんに合わせ、杏も不思議に思いつつ立ち止まる。


その視線の先は…




杏「…本当だ。可愛い」




たくさんのぬいぐるみが置いてあるお店。

特に飾られてある猫の大きなぬいぐるみに、りんは吸い寄せられて行く。




杏「ぬいぐるみ好きなの?」



『うん、大好き!』




『可愛いなー』と暫くうっとりと眺めていたりんは、隣にいる杏に気付きハッと気を引き締めた。




『あ、ごめんね。えと…次はお兄ちゃんの入浴剤買いに行ってもいい?』



杏「うん。もちろんいいわよ」




りんは『ありがとう』と微笑んでお礼を言うと再び歩き始める。


振り返り、杏はまだぬいぐるみを見つめていた。















『杏ちゃん、本当に行きたいところないの?』



杏「うん。私はりんちゃんの買い物付き合ってるだけで楽しいから」




一通り買い物をした後、二人はりんのお気に入りのカフェにいた。

買い物と言ってもほとんどリョーマや家族の物ばかりで、自分の物は何もないけれど。




杏「うちも兄さんとは仲良い方だと思うけど、りんちゃん達はすごく仲良いよねー…」




杏は目の前で美味しそうにケーキを食べるりんと、先程までリョーマのために買っていた物を交互に見つめる。




『そんなことないよ。普通だよ?』



杏「(…普通かしら)」




りんが兄に対する愛は、同じ妹である杏も驚くほどだった。




杏「(まぁ、私がお兄ちゃんでも、こんな妹がいたら絶対シスコンになるわね)」




心の中で爆弾発言中の杏。


リョーマが隠れシスコンであると言うことは、とっくに気付いている。
(気付いてないのは本人達だけ)




杏「ケンカとかしないの?」



『ケンカ…』




答えは大体予想できるけど、杏はじっと答えが返ってくるのを待つ。




『うん。あんまりしないと思う』




『お兄ちゃん優しいから』とふわり微笑むりん。




『杏ちゃんはするの?』



杏「え?うーん…そんなでもないけど、この前も言い合いになって、」




お互いの話で盛り上がっていた時、目の前を見知っている二人組が通り過ぎた。




杏「神尾くん、伊武くん!」



神「!杏ちゃん!?」




突然の杏の登場に、二人は足を止め驚いている。




神「どうしてここに?今日は用事があったんじゃ…」



杏「うん。だから、今日はりんちゃんとデートなの」




「ね!」と笑う杏を見て、りんは慌てて頭を下げる。




神「あ、あーそうなんだ!そっかそっか」




ハハハと笑う神尾だが、その顔は引きつっている。


とその時、そんな神尾を横目で見ていた伊武が口を開けた。




伊「…神尾、先越されたね」



神「な!う、うるせぇ//」




二人の会話の意図が掴めず首を傾げるりんだったが、やがてハッと気付いた。




『(もしかして神尾さん、杏ちゃんと遊ぶ約束してたのかな)

あの、ごめんなさい!』




慌てて頭を下げれば、神尾は「謝らないでいいから!」と手を横に振った。




伊「そんなことより…君って越前くんの妹だよね?」



『は、はい』



神「え!そうなの?」




自己紹介してないのに何で知ってるのかな、と考え始めたりんに気付いたのか、杏がそっと囁いた。




杏「伊武くんには、前にりんちゃんのこと話したことがあったから」




それを聞き、そうなんだと納得。

伊武は何やらじっと一点を見つめてくる。
その視線の先は…りんの買ったショップ袋にあることがわかった。




『?あの、』



伊「ソレ、何?」



『えと、桃城先輩の誕生日プレゼントです』




神尾が「あいつの?」と驚く横で、伊武はぶつぶつとぼやき始めた。




伊「いるよな、あんな単細胞な頭でも後輩にはモテる奴。まったくやんなっちゃうよ、こっちは朝から神尾に起こされて折角の休日に付き合ってあげてるって言うのに…あ、君気を付けた方がいいよ絶対男に貢ぐタイプだから。まぁ俺には関係ないけど一応忠告しておくよ



『??』



神「あーごめんね、コイツの癖だから!」




慌てて神尾は伊武の口を塞ぐが、りんはキョトンと目を丸くしている。



とにかく、伊武のぼやきからりんを守るため、二人とは別れることにしたのだった。




















『杏ちゃん、今日は付き合ってくれてどうもありがとう』



杏「こちらこそ、楽しかったわ」




帰り道、たくさんの袋をぶら下げて微笑むりんに、杏はニッコリと微笑み返した。




杏「りんちゃん、手出して」



『え?』



杏「ね、早く!」




首を傾げつつ両手を前に差し出すと、その上にそっと置かれたのは…




『コレ…』




さっき一緒に見ていた、猫のぬいぐるみ。




杏「大きさはずっと小さいけど、りんちゃん欲しがってたから」



『でも、悪いよ…っ』



杏「たまには自分の物も買わなきゃ。それに、」




「楽しかったお礼」と言ってニッコリ微笑む。


りんは何も言わず渡されたぬいぐるみを見つめて、ゆっくりと顔をあげた。




『…ありがとう』




嬉しくてもう一度お礼を言えば、杏は「どう致しまして」と笑いながら返す。




杏「ねぇ、折角だから、今から桃城くん家にプレゼント渡しに行かない?」



『うん、行きたい!』



杏「桃城くん、ビックリするだろうね」



『喜んでくれるかなぁ』



杏「(…本当にいい子)」




「越前くんが羨ましい」


りんと一緒にいて、そんな風に思った一日だった。












(伊武くんの言う通り、悪い男には気を付けてね)

(?うん)












***



『杏ちゃんと休みの日にお買い物』
さくら様からリクエスト頂きました。


女の子同士の友情って、ほんわかしますね(´`*)

桃城の誕生日をすっかり忘れていたので、使わさせて頂きました。
伊武が良くわからない子になってます…。



ではさくら様、素敵なリクエストをどうもありがとうございました!






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