beloved

□両想い
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赤「プレゼント?」



『はい。赤也先輩だったら何を貰ったら嬉しいですか…?』




放課後、ゲームセンター。



赤也とりんは向かい合わせに座り、いわゆる格ゲーをしていた。


ゲームセンターに行ったことがないと言うりんを誘ったのは、赤也だった。




赤「んー…新しいゲームが欲しい」




ハッキリと言い切る赤也。




『(白石さんってゲームするのかな…)』




想像が出来なかった。







゙重いって思われるかも゙









要に言われた言葉を思い出して、ズキンと胸が痛む。

待ち受けにしたり、白石にしたら気持ち悪いだけかもしれない。




赤也は何処か元気のないりんを見てから手元に視線を戻し、必殺技を出した。




『ぁあ!』



赤「ぼーっとしてんのが悪い」




りんは少しだけ頬を膨らませた後、再び肩を落とした。

『先輩は…』と呟く。




『もし、彼女に自分の写真を待ち受けにされてたら…気持ち悪いって思いますか?』



赤「は?待ち受け?」



『…重い、ですか…?』




指輪なんてしてるのも、自分だけかもしれないのに。


無意識のうちに携帯を開けて。でも、ずっと見ていたら恥ずかしくなって、すぐに閉じてしまったり…


全部、向こうにしたら迷惑かもしれない。






赤「…別に?何とも」




赤也は淡々と答える。




赤「重いなんて、絶対思わねーよ」



『本当に…?』



赤「ああ。だって好きな奴じゃん」




それを聞いて、りんは悩んでいることが急に馬鹿らしく思えた。





自分は彼を好きで、








それだけで十分だ。









『ありがとうございます…赤也先輩』




自然と微笑むりん。


「またやるか」とゲーム機に小銭を入れる赤也に、大きく頷いた。


その時…






丸「あーかや」




ガシッと赤也の頭が掴まれた。




赤「先輩!遅いっスよ」



丸「わりぃ。部活の方で色々合ってさ」




小柄なりんはすっぽりとゲーム機に隠れてしまっていて、丸井からは見えないのだろう。


二人の会話を聞きながら入るタイミングを計っていると、




仁「お前さん、そんなゲームやるんか」



『ひゃあ!』




突然隣でゲームを覗き込む仁王に、りんはビクンと体が飛び退いた。


丸井もそれに気付き、壮大に目を見開く。




『あ、えと…こんにちは!』



丸「…あ、ああ」




丸井はくるりと顔の向きを変えて、「赤也?」と睨みを効かせる。




赤「あれ、りんもいるって言ってませんでした?」



丸「お前なぁ…聞いてねーよ!」



『あ、ごめんなさいっ急に割り込んでしまって…』




慌てて頭を下げるりんに「いや、」と同じく慌てる丸井。


仁王はそんな二人が面白いのか、口角を吊り上げた。




仁「珍しいのぅ。りんと赤也の2ショット」



赤「いや、りんがゲーセン行ったことないって言うから、」



丸「そうなのか?」



『はい!赤也先輩に連れて来て貰ったんです』




さすが聖女のお嬢様、と二人は納得した。




『お父さんやお兄ちゃんに行くなって言われてて…
だからどんなとこなのか、凄く気になってたんです』




りんに対する周りの接し方は、過保護にも程があると思う。

だからこんな、のほほんとしたオーラが出せるのかもしれないが。




赤「プリクラとかもあるぜ?」



『プリクラ…?撮ってみたかったんです!』




りんのきらきらとした瞳を見れば従うしかなかった。



その後も四人で色んなゲームをして、りんにとってはどれも新鮮で本当に楽しいと感じた。









仁「簡単じゃよ」




夕暮れの中、男女の足音が響く。

駅まで送ってくれると言うので、りんは感謝しつつ歩いていた。



男の人は何をあげたら喜ぶのか、と隣で歩く仁王に問い掛ければ、すんなりとした返事が返ってきた。




仁「まず自分の体にリボンを巻き付けて、゙私がプレゼントでずって言えばいいぜよ」



『…!』




意味は良くわからないが、カァァと顔を赤く染めるりん。




『からかわないで下さい…!』



仁「いや?それで間違いなく喜ぶじゃろ」




いくら純粋なりんでも、それは流石に恥ずかしくて出来ないと勢い良く首を横に振った。



それに自分を貰って、一体全体どうすると言うのか。




仁「あの二人にも聞いてみんしゃい」




頭の上に?マークをたくさん浮かべるりんに気付いて、仁王は前で歩く赤也と丸井を指差す。


りんは頷くと、小走りで近付いて行った。




赤&丸「「!!」」




数秒後…彼が二人に同時に怒られたのは言うまでもない。



























リョ「…わかった。気を付けてね」



『ありがとう、お兄ちゃん!』




日帰りの予定ではあるが、明日の部活もあるので念の為リョーマに相談したくて。


りんが申し訳なさそうに頭を下げれば、リョーマは承認してくれた。



それでも、話してから途端に罪悪感が押し寄せてくる。




『ごめんね、勝手で…』




リョーマはベッドに腰掛けながら、夜だと言うのにテレビゲームに没頭していた。


やっぱりゲームが良いのかな、と思っていると、リョーマはふと画面から顔を逸らし椅子に座るりんを見つめた。




リョ「別に、いいんじゃない」




「彼氏だし」と言われて、恥ずかしそうに頬を染めるりん。



リョーマは微かに口元を緩め、再びテレビ画面に向き直った。




『じゃあ、おやすみなさい、お兄ちゃん』



リョ「うん」




りんが出て行き、パタンと部屋の扉が閉まる。



それを見届け、ポケットからそっと取り出した…

映画のチケット。



「ほぁら」とリョーマの膝の中で鳴くカルピンの声を聞きながら、それをクシャリと握り締めた。
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